Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム11 <診療に活かす> ER編:指導医が教えるここだけは見てほしいポイント

(S158)

ERでの急性心不全に対する心エコー

Role of Echocardiography in The Management of Acute Heart Failure in The Emergency Room

大門 雅夫

Masao DAIMON

東京大学医学部附属病院検査部・循環器内科

Clinical Laboratory/Cardiology, The University of Tokyo Hospital

キーワード :

【背景】
救急外来における急性心不全の診療においては,できるだけ短時間に原因を明らかにし,適切な治療方針を決める事が求められる.中には,早急に外科手術や,PCPSなどの補助循環サポートが必要な症例もあり,診断の遅れは不幸な転帰につながることもある.心エコーは,その治療方針決定に重要な役割を果たす.しかしながら,救急外来では,呼吸状態が不良で十分な体位が得られないためにエコーウィンドウが限られたり,出来るだけ短時間に検査を終わらせる必要があったりなど,特殊な条件下で心エコー検査が必要になることが多い.そのような条件下で心エコーを用いて短時間に正確な治療方針を決めるためには,病歴や検査所見,身体的所見などから,ある程度見当をつけて検査にあたる必要がある.
【目的】
ERで行う急性心不全に対する心エコー所見で,ここだけは見ておいて欲しい所見について具体例を挙げて解説する.
【方法】
ここでは,主に次のような病態を中心に解説する.1)早急に外科手術を考慮する必要があるもの.感染性心内膜炎,腱索断裂による僧帽弁逆流の急性増悪など.2)さらに急変する可能性があり,PCPSなど補助循環サポートを考慮する必要があるもの.急性心筋炎や肺血栓塞栓症など,3)特殊な病態のもの.高心拍出性心不全や心房細動による頻拍を合併した僧帽弁狭窄症など.
【まとめ】
ERで必要な心エコーについて全てを解説することはできないが,重要と思われる項目を中心に解説する.ERの限られた条件の中では,総合的な所見も踏まえて見当をつけた上で,心エコーの大事な所見を探しにいくことが肝要である.