Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム
第38回日本超音波検査学会学術集会ジョイントプログラム これからの超音波検査士のあり方を考える

(S153)

超音波検査士に望む

How to Become a Professional Sonographer?

山田 博胤1, 2

Hirotsugu YAMADA1, 2

1徳島大学病院循環器内科, 2徳島大学病院超音波センター

1Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, 2Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital

キーワード :

【超音波検査士の役割】
超音波検査士の役割は,「超音波検査およびそれに関連した検査によって患者からデータを取得し,そのデータを解析する.所見のサマリーを医師に提示し,患者の診断や治療の補助をする.システマティックな問題解決法を用いて独自の判断により,質の高い診断情報を提供し,有効な患者ケアに貢献する.(米国診断医用超音波学会)」とされている.このような責務を果たすためには,エコーの撮像テクニックだけでなく,超音波や装置に関する知識,解剖・病態・疾患に関する知識,患者やスタッフとのコミュニケーション能力など,身につけなければならないことは多い.これらすべてが身について始めて,一流のプロフェッショナルソノグラファーといえるだろう.
【超音波検査士の環境】
心エコー図学会認定専門技師や超音波医学会指導超音波検査士などの制度が整えられ,超音波検査は医師が検査技師に教える時代から,検査技師が検査技師に教える時代へと変遷した感がある.これに伴って,医師の指導的立場が揺らぎ,超音波検査においてはむしろ上級技師に医師が教わることも多くなった.このように現場では対等の関係でありながら,超音波検査士の社会的立場は,給与や労働条件も含めて,医師と対等とはいえない現状である.また,古い体制の施設では,検査技師が研究や教育をすることは,日常業務として認められない雰囲気が残っている.このような超音波検査士の環境をどう改善していけばよいのだろうか.超音波検査士が自らアピールすることや,医師が彼らの立場を理解してサポートすることが重要なのはいうまでもないが,学会を通じた働きかけも不可欠であろう.
【学会の在り方】
日本超音波医学会の会員数は14181名,日本超音波検査学会は19697名であり,組織としては日本超音波検査学会のほうが大きい.日本超音波医学会にしても,医師は会員7892名のうちの7201名であり,全会員のほぼ半数にすぎない.しかし,本会あるいは地方会の役員や代議員は正会員から選出され,検査士の意向は反映されにくい.学会の活動を行うような大学病院あるいは地域中核病院においては,超音波検査の中心的担い手は医師から超音波検査士にシフトしている施設が多く,もっと超音波検査士の意見が反映される学会であるべきと思われる.超音波医学会は基礎的あるいは工学的研究も含めているとはいえ,臨床的には両学会の目的はほぼ同様であろうから,これまでの歴史を踏まえつつ,コンパクトに合理化していくことが望まれる.例えば,工学側の発表がほとんどない超音波医学会の地方会は超音波検査学会の地方会と合同で同時開催するのはどうだろうか.また,両学会で行われている超音波講習会やハンズオンセミナーなども統合することが可能ではないだろうか.