Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム
第38回日本超音波検査学会学術集会ジョイントプログラム これからの超音波検査士のあり方を考える

(S153)

これからの超音波検査士の在り方を考える−超音波検査士の将来像−

Future Role Model of Ultrasonographer

関根 智紀

Tomoki SEKINE

国保旭中央病院診療技術部中央検査科

Department of Laboratory, Asashi General Hospital

キーワード :

【はじめに】
現在,医療の現場で超音波検査の果たす役割は大きく,その多くが超音波検査士の手に委ねられている.超音波検査士とは日本超音波医学会が認定する技師であり,これまで27回の認定試験が実施され,延べ18000名以上が誕生している.その技術は学会の場や施設内で検査の精度・研究・教育が推し進められ,それなりの成績と社会的な評価も受けている.今回,これからの超音波検査士の在り方を考えるとして,①現場の検査業務の状況,②超音波検査士自身が取り組むべき課題,③本制度の進むべき道,④超音波検査士をめぐる医学会と検査学会の協力体制,から超音波検査士の将来像を述べてみたい.
【現場の検査業務の状況】
最近の超音波検査および教育の場では,①これまで以上に繊細かつ高度な検査手技と検査の効率,②超音波検査で得られる情報の確実性,③ルーチン検査から超音波造影検査まで含めた超音波検査でなければの有用性,④これらの発展的な検査業務を支える教育の活動,が求められている.
【超音波検査士自身が取り組むべき課題】
超音波検査の目的は,誰が行っても同じような標準化された検査技術により,臨床側の求める情報を,正確さをもって提供することである.このため,超音波検査士の取得はゴールではなくスタートになり,本来の目的を達成するために日々発展する検査技術と医学知識を豊富に身につけなければならない.
【本制度の進むべき道】
超音波検査士の試験には,難易な超音波の原理と臨床医学の知識が求められ,毎年多くの優秀な検査士が誕生している.このライセンスの更新は,学会参加などで得られる点数により進められる.ただ,最近の超音波医学の発展はあまりにも急成長である.このため,超音波検査士には試験の成績だけでなく,さらなる技術と豊富な医学知識,そして綺麗な画像の描出ではなく臨床側との密な展開が進められる応用能力が必須になる.しかし,現場の検査業務に目を向けると,述べ18000名以上の検査士が誕生しているわりには技糧の一面に力不足が感じられる.超音波検査士制度には検査士取得後に時間が経過しても,①技術と知識を回復できる,②一定のレベルを維持できる,③高度な知識を習得できる,④後輩の指導ができる,などそれぞれの検査士の環境に合わせた各講習が受けられるような教育システムを希望する.その結果,到達度が成果としてみえるようななかでライセンスの更新が進められることが望ましい.
【超音波検査士をめぐる両学会の協力体制】
信頼度の高い超音波検査士の維持にはライセンス取得後における卒後教育が大切である.これは,一個人レベルではなく組織が抱える問題と考える.教育の環境,技術の習得,求める・提供する検査内容,にも時代の変遷がある.いま,医療現場が大きく成長しているなかで,検査室の運営は技師だけで検査は技師が,という固定観念ではこれ以上の発展は無いと考える.信頼度の高い超音波検査士を将来像にするには,医学会と検査学会の密な協力体制により新しい教育技術論を学会レベルで導入する局面が必要と考える.
【まとめ】
超音波検査士の将来像について,現場の検査業務の状況から取り組むべき課題そして本制度の進むべき道のもと超音波検査士をめぐる両学会の協力体制について述べた.