Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
コメディカル部門:循環器領域Ⅱ

(S589)

硬膜下血腫に合併した,たこつぼ型心筋症

Takotsubo cardiomyopathy associated with intradural hematoma

氏原 好恵1, 植村 千佳子1, 畠山 裕志1, 富田 純子2, 小野 彰範2, 新谷 憲治2

Yoshie UJIHARA1, Chikako UEMURA1, Hiroshi HATAKEYAMA1, Junko TOMITA2, Akinori ONO2, Kenji NIIYA2

1笠岡市立市民病院生理検査室, 2笠岡市立市民病院内科

1Department of Physical Laboratory, Kasaoka City Hospital, 2Department of Internal Medicine, Kasaoka City Hospital

キーワード :

【症例】
90歳,女性.
【主訴】
呼吸困難.
【既往歴】
腰痛.
【現病歴】
平成23年10月3日に転倒.8日から食欲不振になり10日に呼吸困難の為当院救急外来を受診.
【病状経過】
受診時の心電図検査にて完全房室ブロックと広範囲な誘導でSTが上昇しており心筋梗塞を考えたが,心エコー検査を施行したところ冠動脈の走行に一致しない壁運動異常(心尖部の風船状無収縮と心基部の過収縮)を認め,LAD flowは保たれていることからたこつぼ型心筋症が強く示唆された.その後,原因検索の為の頭部CT検査で右硬膜下血腫が発見され治療目的にて転院となった.転院先の病院で心不全治療を行い左室壁運動異常はすみやかに改善し,心電図所見もST上昇から巨大陰性T波へと移行し,たこつぼ型心筋症を示唆する臨床経過を辿った.
【考察】
たこつぼ型心筋障害は冠動脈病変を認めない左室心尖部を中心とした一過性の心筋障害である.頭部外傷や脳出血,褐色細胞腫などに続発する心筋障害においても,たこつぼ様の収縮異常を起こすことが知られている.本症例は硬膜下血腫に続発し心エコー検査にて左室中部から心尖部の収縮異常を認め,たこつぼ型心筋障害と考えられた.
【結語】
心電図,血液検査からは急性冠動脈疾患との鑑別が困難であった「たこつぼ型心筋症」を心エコー検査にて診断することができた.たこつぼ型心筋症を迅速に診断するのに心エコー検査は有用であると思われた.