Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
コメディカル部門:循環器領域Ⅰ

(S589)

Apical 4CVとlateral 4CVの2方向での観察が正確なスクリーニングに役立ったAVSDの一例

A case of AVSD detected by the Apical and lateral 4CV in fetal echocardiography

佐藤 静香1, 竹内 正弥2, 椎津 敏明2, 池谷 美樹2, 崎山 武文2, 島田 洋一2, 石原 楷輔2, 川瀧 元良3

Shizuka SATO1, Masaya TAKEUCHI2, Toshiaki SHIIZU2, Miki IKEYA2, Takefumi SAKIYAMA2, Youichi SHIMADA2, Kaisuke ISHIHARA2, Motoyoshi KAWATAKI3

1新横浜母と子の病院放射線科, 2新横浜母と子の病院産婦人科, 3神奈川県立こども医療センター新生児科

1Department of Radiology, Shinyokohama women’s and children’s hospital, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Shinyokohama women’s and children’s hospital, 3neonatology, Kanagawa children’s medical center

キーワード :

【背景】
AVSD(心房心室中隔欠損)は一次心房中隔,房室弁,心室中隔を形成する心内膜床の形成不全による心奇形である.神奈川県立こども医療センターでの2000年から2009年の10年間の胎児診断率は41%(42/102)とけっして高くない.断層エコーによる胎児心スクリーニングのポイントは,midlineの欠損と房室弁のoffsetの欠如である.超音波ビームの方向によってはこれらの所見は不明瞭なことがある.今回我々は19-20週の胎児心エコー検査で,apical 4CVとlateral 4CVで得られた所見が明らかに異なり,多方向の超音波ビームを活用することの意義を確認できた症例を経験したので報告する.
【症例】
母親は30歳の初産婦で,無月経を自覚し自己妊娠反応検査陽性の為当院を初診.妊娠13週の超音波検査にてNT4.5mmを認めた.妊娠19-20週のスクリーニング検査にてAVSDを疑い,高次医療機関に紹介し,完全型AVSD Rastelli Aと診断された.
【胎児心エコー所見】
lateral 4CVではsmall VSDを認めるも共通房室弁の所見は認めなかった.apical 4CVでは収縮期に弁が一直線につながっている所見(offsetの欠如)を認めた.
【考察】
妊娠週数の早い胎児心スクリーニング検査においてはAVSDのスクリーニングは容易ではなく,胎児診断率はまだ低率である.中でも完全型AVSD RastelliAのようなVSDが小さいものではスクリーニングは容易ではない.lateral 4CVでmidlineの欠損を見つけることは容易であるが房室弁のoffsetの欠如を見つけることは困難である.一方,apical 4CVでは房室弁のoffsetの欠如を見つけやすく,midlineの欠損を見つけることは困難である.胎児心スクリーニング検査においては超音波ビームの分解能を利用し単一の断面で診断するのではなく多方向から系統的にスクリーニングを実施することでスクリーニング精度が上昇すると考えられる.さらにカラードプラを併用することによりよって,拡張期のバタフライサイン,収縮期の弁逆流に注目することによりさらなるスクリーニング制度の向上が期待できる.
【参考文献】
1.川滝元良:『胎児心エコー診断へのアプローチ』株式会社廣済堂,2004年,77-78
2.森巍:『胎児診断・管理のABC』株式会社金芳堂,2009年,114
3.Alfred Abuhamad, Rabih Chaoui:『A Practicl Guide to Fetal Echocardiography』Lippincott Williams&Wilkins,2010,219-228