三上 秀光¹, 大平 里佳¹, 尾形 剛², 但木 壮一郎², 藤田 央², 山口 典寛², 尾上 紀子², 田中 光昭², 石塚 豪², 篠崎 毅²

Hidemitsu MIKAMI¹, Rika OODAIRA¹, Tsuyoshi OGATA², Souichirou TADAKI², Hiroshi FUJITA², Norihiro YAMAGUCHI², Noriko ONOUE², Mitsuaki TANAKA², Takeshi ISHIZUKA², Tsuyoshi SHINOZAKI²

¹独立行政法人国立病院機構　仙台医療センター臨床検査科, ²独立行政法人国立病院機構　仙台医療センター循環器科

¹Department of medical technology, Sendai Medical Center, ²Department of Cardiology, Sendai Medical Center

キーワード :

【背景】
心臓超音波装置メーカーの違いによって僧帽弁輪運動速度の計測値に差が生じると報告されているが,その系統的な研究はなされてはいない．
【目的】
僧帽弁輪運動速度の機種間差,メーカー間差,そして計測法による差を評価することで,複数機種を用いる際の計測法の問題点と推奨法を検討する．
【方法】
2011年8月から11月まで心臓超音波検査を受けた洞調律患者10例を対象とした．同一患者に連続してPhilips社製iE33 （iE）, iU22 （iU）, アロカ社製a10の3機種を用いて僧帽弁輪運動速度を計測した．検者間の誤差を除外するために同一検者が全ての計測を行った．心尖部4腔像において連続5心拍の中隔側と側壁の僧帽弁輪速度（収縮期s,拡張早期e’,心房収縮期a’）の平均値を算出した．Mモード組織ドプラ信号は一定の幅を持った線として描出されるため,s波の上縁,及び,e’波とa’波の下縁で計測された値（最大値法）と,それぞれのcenter lineで計測された値（center line法）を比較した．
【結果】
相関係数を図に示す．sとe’において,どの2機種を比較した場合でも,center line法の相関係数が最大値法のそれを上回った．a’における相関係数はsとe’のそれらよりも低い値であった．
【結論】
center line法を用いることによって,s波とe波の値の機種間差,メーカー間差を最小限にすることができる．a波の値は最大値法とcenter line法のいずれにおいても機種間差,メーカー間差が大きいため,異機種間の比較には注意が必要である．