Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
コメディカル部門:血管および表在領域

(S587)

表在や関節エコー検査に適する超音波パッドの開発

Development of the ultrasound pad suitable for the inspection on the uneven surface

西 泰治

Taiji NISHI

株式会社マテリアルデザイン新素材研究開発チーム

New material development team, Material Design., CTD

キーワード :

【目的】
柔軟で組織を圧迫せず,10MHz以上の超音波周波数においても,超音波の減衰の少ない,超音波パッドの検討を行った.
【対象】
水溶性樹脂のなかで,ポリビニルアルコール(PVA)樹脂は,安全性に優れ,生分解性を有するポリマーである.水溶液中のポリビニルアルコール濃度を高めると,パッドの硬度が高まり,ハンドリング性が向上する反面,比重が高くなるために超音波が減衰する結果となる.ポリビニルアルコールの濃度を低くし,硬化剤濃度を高めると,2ヶ月以上の保管において,パッドから離水が発生し,硬度が低下する問題がある.我々はポリビニルアルコール樹脂,水,硬化剤の最適設計により,性能と長期安定性の両立を試みた.
【方法】
分子量の異なるポリビニルアルコール(株式会社クラレ,PVA505/分子量500,PVA217/分子量1700,KL318/分子量1800,PVA235/分子量3500)を使用し,ポリビニルアルコール濃度とハンドリング性の最適値を検討した.超音波パッドの製造方法は,ポリビニルアルコールを水に溶解させた後,硬化剤を加えて攪拌を行った.次に,超音波パッドをポリエチレンフィルムに収納し,25℃の環境下で,3週間の脱気作業により超音波パッドを得た.
【結果と考察】
分子量が低いPVA550(分子量500)は,ポリビニルアルコール濃度を10wt%まで高めても,パッドの硬度を高めることができなかった.室温(22℃)にて,パッドの流動が認められた.分子量が高くなると,水分子を補足しやすくなり,ポリビニルアルコール濃度を低くすることが可能であった.PVA235(分子量3500)では,ポリビニルアルコール濃度6.6%にて,所望の硬度が得られ,パッドの流動は発生しなかった.分子量の高いポリビニルアルコールを使用することで,硬化剤濃度を低減でき,室温での保管可能時間は,2ヶ月から5ヶ月に延長可能となった.
【結論】
水/ポリビニルアルコールを原材料とした超音波パッドは,流動しにくく,関節エコー検査等にも使用できる.生体とプローブの間隔を調整でき,表在観察にも優れている.