Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
コメディカル部門:血管および表在領域

(S584)

頸動脈IMTと冠動脈病変・腎動脈病変・下肢動脈病変との関係

The relationship between IMT of carotid artery and the lesion of coronary artery, renal artery, and limb artery.

安田 英明1, 高橋 健一1, 乙部 克彦1, 竹島 賢治1, 後藤 孝司1, 中村 学1, 上杉 道伯2, 武川 博昭2, 坪井 英之2, 曽根 孝仁2

Hideaki YASUDA1, Kenichi TAKAHASHI1, Katsuhiko OTOBE1, Kenji TAKESHIMA1, Takashi GOTO1, Manabu NAKAMURA1, Michitaka UESUGI2, Hiroaki MUKAWA2, Hideyuki TSUBOI2, Takahito SONE2

1大垣市民病院診療検査科形態診断室, 2大垣市民病院循環器内科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Cardiology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
頸動脈の動脈硬化性変化は,全身の動脈硬化を反映するとされ,頸動脈の状態を無侵襲に観察できる超音波検査は広く活用されている.その評価法としては,内中膜複合体厚(inmima-media thickness: IMT)や,プラークスコア等が用いられている.IMTは,全身の動脈硬化性疾患と相関することや,心血管イベントの予測因子となることが報告されている.我々が以前行った検討でも,頸動脈硬化度と冠動脈狭窄度との間には有意な相関があった.
【目的】
頸動脈の内中膜複合体厚(IMT)が冠動脈病変,腎動脈・下肢動脈病変を反映しているかどうか検討すること.
【対象】
20011年1月から10月までに循環器内科で頸動脈超音波検査が施行された565例(男性:354例,女性:211例).年齢は30〜95歳(平均:72.3±9.7歳)
【方法】
超音波検査で計測した総頸動脈のIMTを,冠動脈病変,腎動脈病変,下肢動脈病変の有無で比較した.また,冠動脈,腎動脈,下肢動脈の病変の有無で,病変血管数によって0〜3の4群に分け,IMTを比較した.IMTの評価は,総頸動脈の膨隆部より1cm程中枢側の平坦な部分の後壁で計測し,プラークを含めた最大値で評価した.左右差がある場合は,高い値を用いた.冠動脈,腎動脈,下肢動脈の評価は,頸動脈超音波検査が施行された前後3ヵ月の間に行われた血管造影,超音波検査,CT検査の何れかで評価した.使用した超音波装置は,東芝社製Aplio XG,XV,アロカ社製prosoundα10,α7,α5,SSD-6500である.
【結果】
総頸動脈のIMTは,他の血管に病変を認めない群では1.05±0.33mmなのに対し,冠動脈病変群では1.34±0.42mm,腎動脈狭窄群では1.64±0.71mm,下肢動脈狭窄群では1.43±0.43mmと有意(p<0.0001,p<0.005, p<0.0001)に高値を示した.また,病変血管数が多いほどIMTは高値を示した.
【考察】
頸動脈はアテローム性動脈硬化の好発部位であり,IMTやプラークの有無などから頸動脈の動脈硬化の程度を評価すれば,全身の動脈硬化を把握することができるといわれている.そこで,本研究は,頸動脈のIMTが,冠動脈病変,腎動脈・下肢動脈病変をどの程度反映しているかを検討した.その結果,狭窄群の症例数がまだ少ないが,IMTは正常群より狭窄群の方が有意に高値を示した.また,病変血管数が多いほど高値を示した.従って,更にそれぞれ症例を重ね,年齢,性別等の因子を考慮すればIMTから冠動脈病変のみならず,腎動脈・下肢動脈病変も予測できるのではないかと思われた.
【結語】
総頸動脈のIMTは,冠動脈病変,腎動脈・下肢動脈病変の予測因子となり得ると思われた.