Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
コメディカル部門:腹部領域

(S584)

“囲い込み法”によるinversion image改良の試み

Improvement of inversion image by “encasement” method

武田 智弓1, 石田 秀明3, 黒田 英克2, 木村 義信1, 三上 有里子1, 小野寺 美緒2, 大野 長行4, 滝川 康裕2, 鈴木 一幸2, 諏訪部 章5

Chiyumi TAKEDA1, Hideaki ISHIDA3, Hidekatsu KURODA2, Yoshinobu KIMURA1, Yuriko MIKAMI1, Mio ONODERA2, Nagayuki OHNO4, Yasuhiro TAKIKAWA2, Kazuyuki SUZUKI2, Akira SUWABE5

1岩手医科大学中央臨床検査部, 2岩手医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科分野, 3秋田赤十字病院超音波センター, 4GE health care超音波担当, 5岩手医科大学臨床検査医学講座

1Central Clinical Laboratory, Iwate Medical University, 2Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University, 3Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 4Department of Ultrasound System Group, GE health care, 5Department of Laboratory Medicine, Iwate Medical University

キーワード :

【はじめに】
近年のコンピューター技術の進歩に伴いvolume dataを利用した超音波診断が腹部領域でも可能となりつつある.本学会総会で過去に腹部超音波診断におけるinversion imageの有用性が報告されてきた.しかし,その問題点として,volume data収得時に入り込んだノイズが重なり情報の質が低下することが挙げられてきた.この問題点として,モニター上提示されたinversion imageを人為的に切り取る手法が開発された.しかしこの方法では施行者は自分の意図でimageをいかようにも作りえる可能性が有り,さらに客観的な手法が求められていた.今回我々は関心領域のみをA planeとB plane両断面上で“囲い込み”自動的に装置がinversion imageを作成する手法(ここでは便宜的に“囲い込み法”と,これまでのものを従来法,とした)を用い本法によりinversion imageがどの程度向上するか,検討し,若干の知見を得たので報告する.
【使用診断装置】
GE社製LOGIQ E9.プローブは機械式3Dプローブ(中心周波数:3-4MHz)を用い,胆嚢近傍にプローブを位置させその領域のvolume dataを収得した対象と方法:1)胆嚢のinversion image上ノイズがかぶり胆嚢の情報が不明瞭であった正常胆嚢10例(54歳- 88歳,平均59.4歳,男4:女6)に関し上記手法でimageの改良の程度を,a)不変,b)やや改善,c)大幅改善.に分類し検討した.ここで,c)は所見が細部まで表現されているもの,b)は細部の所見は不明だが大まかに病変を理解できるものとした.2)胆嚢疾患5例に関し同様の検討をした.疾患の内訳は,急性胆嚢炎3例,胆嚢ポリープ1例,胆嚢癌1例である.
【結果】
1)a)2/10(20%),b)2/19(20%),c)6/10(60%),2)5mmの胆のうポリープを除く4例では従来法で不鮮明であった胆嚢壁の変形の状態が染目に理解できるようになった.
【まとめと考察】
最近開発された“囲い込み”法の最初期経験を報告した.まだ開発された直後で経験も乏しくまた技術的に更なる改良が望まれるが,画質向上の効果は非常に明瞭(若干改善20%,改善60%)で,胆嚢全体の表示に関しては従来の法を大きく凌駕した.従来法の問題として,手動で“不要”と思われる部位を切り取っていく際の施行者の意図によりimageがどうにでも作られる主観性が指摘されていた.このような効果が大きく,客観的な手法がさらに短時間に(将来的には全自動で)得られることは超音波診断の新たな可能性を開くものと期待される.