Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
体表臓器:乳腺2

(S579)

乳腺管状癌9症例の超音波所見の検討

A Study of ultrasonographic findings on 9 case of tubular carcinoma of the breast

植田 雄一, 櫻井 健一, 榎本 克久, 平野 智寛, 前田 哲代, 松本 京子, 原 由起子, 長島 沙樹, 鈴木 周平, 天野 定雄

Yuichi UEDA, Kenichi SAKURAI, Katsuhisa ENOMOTO, Tomohiro HIRANO, Tetsuyo MAEDA, Kyouko MATUMOTO, Yukiko HARA, Saki NAGASHIMA, Shuhei SUZUKI, Sadao AMANO

日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科学分野乳腺内分泌外科

Breast and Endocrine Surgery, Nihon University

キーワード :

【目的】
乳腺管状癌の頻度はわが国では0.2〜1.0%であり,生物学的悪性度が低いとされている.管状癌はtargetが小さく豊富な間質のため,術前の細胞診や組織診で診断上必要十分な病理所見が得られることが困難である.今回我々は,当院にて過去10年間に経験した乳腺管状癌について超音波画像を含めた臨床病理学的検討を行った.
【対象と方法】当科で経験した過去10年間の初発乳癌手術症例のうち乳腺管状癌9例(発生頻度0.9%)について,術前に施行された乳腺超音波画像を中心として,MMGやMRI画像を含めた臨床病理学的検討を行った.
【結果】
管状癌9例のうち純粋型(pure type)は2例であり,混合型(mixed type)は7例であった.術前のMMGでカテゴリー4以上と診断された症例は7例であり,6例にスピキュラを認めた.乳腺超音波所見では,不整形腫瘤として描出された症例は8例であり,画像上腫瘍径が1cm以上の症例において内部エコーが不均一な所見を認めた.後方エコーは様々な所見を呈していた.術前の組織診で組織学的推定がなされたのは2例のみであり.乳房温存療法は7例(77.7%)に施行された.平均腫瘍径は1.2±1.1cmであり,リンパ節転移症例は1例のみであった.7例において核グレードは1であり,グレード3の症例は認めなかった.また,subtype別に分類すると.8例がLuminal A typeであり,1例がHER2 enriched typeであった.
【結論】
管状癌はリンパ節転移症例は少なく,生物学的悪性度が低いと考えられた.しかし,targetが小さく豊富な間質をもつため術前に組織型を推定することは困難であり,術前補助療法が確立していく今日において管状癌を推定することが重要である.病理学的なアプローチのほかに画像的アプローチが管状癌を推定する上で重要である.