Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
体表臓器:乳腺1

(S577)

乳腺mucocele-like tumor/lesionの超音波所見について

Ultrasonic findings of mucocele-like tumor/lesion

松本 京子

Kyoko MATSUMOTO

日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科学分野

Division of Breast and Endcrine Surgery, department of Surgery, Nihon University School of Medicine

キーワード :

Mucocele-like tumor/lesion(MLT/MLL)は1986年にRosenによって提唱された良性疾患であるが,前癌病変である異型乳管上皮の過形成や癌を伴うこともあり診断や治療を慎重に行うことが重要であるとされている.今回われわれは,過去6年間に当科で経験したMLT/MLLの5症例について,超音波画像所見を中心に,その臨床的特徴について検討をおこなった.対象症例の全例が女性であり,年齢は34〜52歳であった.マンモグラフィ検査では,集簇性石灰化病変を認めたものが2例.他の3例は特に所見を認めなかった.乳腺超音波検査では,集簇性小嚢胞病変を認めたものが3例.内部に充実成分を伴った嚢胞性病変を認めたものが1例.拡張乳管のみを認めたものが1例であった.MLT/MLLの確定診断方法は,超音波ガイド下のマンモトーム生検によるもの2例.腫瘤生検によるもの1例.他の1例は粘液癌が疑われたため,乳房円状部分切除術が施行されており,病理組織学的検索によって「非浸潤性乳管癌(DCIS)を伴うMLT/MLL」と診断された.他の1例は超音波ガイド下の針生検でMLT/MLLと診断され,厳重に経過を観察されていたが,再度マンモトームを施行され,DCISと診断された.MLT/MLLの超音波所見に言及した報告は少ない.今回経験した5症例を検討すると,小嚢胞の集簇を有する例が3例みられた.MLT/MLLは内部エコーのほとんどない内腔像を示すため,良性の嚢胞や粘液癌との鑑別が難しいとされている.今回経験した5症例では小嚢胞の集簇像を認める症例が多くみられた.このような超音波所見を認めた場合,本疾患も念頭において慎重に精査をすすめる必要があると考えられた.しかしながら,これらの所見は一般のDCISで認める超音波所見と明確な差はみられず,超音波検査のみでの鑑別は困難であると考えられた.今後,症例を積み重ね,さらなる検討が必要であると思われた.