Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
体表臓器:乳腺1

(S576)

超音波ガイド下Vacora Vacuum Assisted Biopsy System (VACORA)の問題点について

The Problems of the Vacora Vacuum Assisted Biopsy System (VACORA) Under the Ultrasonography

櫻井 健一1, 2, 藤崎 滋2, 長島 沙樹1, 植田 雄一1, 2, 原 由起子1, 2, 和賀 瑛子1, 2, 萩原 美桜1, 2, 前田 哲代1, 2, 榎本 克久1, 天野 定雄1

Kenichi SAKURAI1, 2, Shigeru FUJISAKI2, Saki NAGASHIMA1, Yuichi UEDA1, 2, Yukiko HARA1, 2, Eiko WAGA1, 2, Mio HAGIWARA1, 2, Tetsuyo MAEDA1, 2, Katsuhisa ENOMOTO1, Sadao AMANO1

1日本大学 医学部外科学系 乳腺内分泌外科分野, 2医療法人社団 藤崎病院外科

1Division of Breast and Endocrine Surgery, Department of Surgery, Nihon University School of Medicine, 2Department of Surgery, Fujisaki Hospital

キーワード :

VACORAは吸引式マンモトームとして簡便で使用する頻度が増加している.しかしながら,様々な問題点も内包している.今回われわれは,超音波ガイド下VACORA生検でfibrous diseaseが疑われ,ステレオガイド下マンモトーム生検で診断がついたDCISの1例を経験したので報告する. 症例は64歳,女性.自治体のマンモグラフィ併用乳癌検診で左乳房に異常を指摘され,精査加療目的に当科を紹介・受診した.来院時,触診では腫瘤や腋窩リンパ節を触知しなかった.マンモグラフィでは左U領域に淡く不明瞭な石灰化を集簇性に認めた.超音波検査では左AC領域に直径7mmの不整形の低エコー腫瘤を認めた.後方エコーは変化なく,ドップラーエコー検査およびパワードップラーエコー検査では血流豊富な腫瘤として描出された.造影MRI検査では造影効果のある直径7mmの腫瘤として描出された.超音波ガイド下にVACORAによる吸引式針生検術を施行した.病理組織診断はfibrous diseaseの疑いであった.画像所見では悪性が疑われたため,マンモグラフィ検査での石灰化部位に対してステレオガイド下マンモトーム生検術を施行した.病理組織診断は非浸潤性乳管癌,ER(+),PgR(+),HER2 Score 0であった.全身検索の結果,他臓器に転移を認めなかった.マンモトーム施行時に挿入したマーカーを術中超音波検査で同定し,乳腺扇状部分切除術+センチネルリンパ節生検術を施行した.手術摘出標本の病理組織診断では癌の遺残は認めず,マンモトーム施行時に切除できていたとの診断であった.センチネルリンパ節は陰性であり,最終臨床病期はTis,N0,M0=Stage 0の診断であった.術後経過は良好であり,合併症なく第9病日に退院.外来で経過を観察している.VACORAは吸引式マンモトームとして簡便で使用する頻度が増加しているが,問題点として吸引力が弱いこと,切除部位にマーカーが正確に留置できないこと,出血を吸引できないこと等がある.現時点では,症例を選択して施行すべきものと考えられた.