吉岡 二三^{1, 2}, 田中 幸子¹, 高倉 玲奈¹, 井岡 達也¹, 蘆田 玲子¹, 有本 伸子¹, 宮崎 さや子³, 松野 徳視³, 三栖 弘三³, 福田 順子¹

Fumi YOSHIOKA^{1, 2}, Sachiko TANAKA¹, Rena TAKAKURA¹, Tatsuya IOKA¹, Reiko ASHIDA¹, Nobuko ARIMOTO¹, Sayako MIYAZAKI³, Noritoshi MATSUNO³, Kouzou MISU³, Jyunko FUKUDA¹

¹大阪府立病院機構　大阪府立成人病センター検診部, ²河内友紘会河内総合病院内科, ³大阪府立病院機構　大阪府立成人病センター臨床検査科

¹Cancer Survey, Osaka Medical Canter for Cancer and CVD, ²Internal medicine, Kawachiyukokai Kawachi General Hospital, ³Clinical Laboratory, Osaka Medical Canter for Cancer and CVD

キーワード :

【目的】
リンパ節（LN）は組織間隙に存在し,振動を与えると血管などの周囲組織の影響をうけるため,歪みの程度を硬さと判断できない．エラストグラフィ（エラスト）はROI中の相対的な組織弾性像（歪み像）を色（平均緑,高歪み赤,低歪み青）で表示する．振動に対するLN自らの歪みかたと周囲組織の振動の影響を同時にエラストは示している．転移LNは硬いことで青く描出され診断の一助となっている．我々は,軟部組織のエラストと比較することで,弾性の高い悪性リンパ腫（ML）再発LN（再発LN）は,高歪みで振動を伝えやすく,やわらかく弾性の低いML完解時LN（完解LN）は,再発LNより”青”く描出される頻度が高いことを報告し,さらに周囲組織との境界にできたred shoreline（SL）が様々な像となることも報告してきた．red SLをLN鑑別診断の参考所見とすることを目的として,撮像画像中の所見の出現頻度を検討した．
【対象】
内頸静脈二腹筋LN,頚部LNで,転移LN19個,再発LN14個,完解LN17個である．
【方法】
ROIを広くとる．red SLは,体表側,背側,両側に分けて検討した．LN内部の主色は概ね50％以上の色を主色とした．これらの所見の撮像枚数に対する所見出現枚数の頻度およびこれらの所見をエラストの連続画像で1画像でも認めたリンパ節の頻度を検討した．結果：結果は表1に示した．1）撮像画像の出現頻度の検討では,①主色は,転移LNは青で,再発,完解LNともに緑が高頻度であった．②体表側,背側のred SLは 転移LNが高く,再発,完解LNはともに低く,これが両側（double red SL）になると,再発LN19％,完解LN5％で,主色が青では,さらに低くなった．2）1画像でもdouble red SLを呈したLNの頻度は,転移LN95％に比べて,完解LNは24％と低かった（転移 vs. 完解LN；sensitibity95％,specificity76％）．さらに主色が青のdouble red SLでは,転移LNの頻度は低下するが（sensitibity79％）,specificityは94％と高くなった．主色が青のdouble red SLを持つ完解LNは内頸静脈二腹筋LNで認められ,この部位の画像は頚部と異なった．
【結論】
double red SL は転移LNに認められることが多く,主色が青色の時は,転移LNの可能性が高いと思われた．内径静脈顎二腹筋LNは,頚部と異なる傾向のエラストを呈するが,転移LNと再発,完解LN像に相違が認められた．今後の検討を要する．