Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
腎泌尿器:腎泌尿器

(S570)

先天性神経芽細胞腫との鑑別に苦慮した副腎出血の1例

A case of Adrenal hemorrhage mimicking congenital neuroblastoma

山岡 正慶1, 寺尾 陽子1, 横井 健太郎1, 秋山 政晴1, 田中 圭一郎2, 桑島 成央2, 芦塚 修一2, 吉澤 穣治2, 井田 博幸1

Masayoshi YAMAOKA1, Yoko TERAO1, Kentaro YOKOI1, Masaharu AKIYAMA1, Keiichiro TANAKA2, Naruo KUWASHIMA2, Shuichi ASHIZUKA2, Joji YOSHIZAWA2, Hiroyuki IDA1

1東京慈恵会医科大学小児科, 2東京慈恵会医科大学小児外科

1Pediatrics, Jikei university school of medicine, 2Pediatric surgery, Jikei university school of medicine

キーワード :

【背景】
近年,胎児エコーの発展により腫瘍性疾患までもが出生前に指摘されるようになった.先天性神経芽細胞腫はしばしば嚢胞性腫瘤として腹部エコーやMRIで発見され,一般的に乳幼児で見られる充実性腫瘤を呈する神経芽細胞腫とは異なった画像を呈する.今回我々は,胎児期に腹部腫瘤を指摘され,先天性神経芽腫との鑑別に苦慮した症例を経験した.
【症例】
在胎39週1日で正常経腟分娩にて出生.37週の定期受診の際に胎児エコーにて腹部腫瘤を指摘されていた.出生後,腹部エコー,CT,MRI等各種画像検査を施行し,先天性神経芽細胞腫が疑われた.尿中VMA,HVAは正常範囲内で,血中NSEは新生児であり高値であった.副腎出血の可能性も高かったが,悪性腫瘍との鑑別が困難であり,日齢14に腹部腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は表面平滑な3cm大のもので,正常副腎成分と連続していた.腫瘤の内容物は主に血性成分と漿液性成分が混在するものであった.その後,病理にて副腎出血と判明した.
【考察】
先天性神経芽細胞腫は嚢胞性腫瘤を呈し,画像上は副腎出血や嚢胞とも鑑別が困難である.また,腫瘍マーカーも異常値を呈さないことが多く参考にならないため,実際に腫瘍を摘出し病理を確認するまで診断を確定することはできない.一般的に乳児の神経芽細胞腫はStage1のものは自然退縮も期待できる予後良好なものが多く,摘出せずに経過観察することも一つの選択肢である.しかし,先天性神経芽細胞腫の過去の報告では,Stage1であってもN-MYC増幅を認めた症例もあり,高リスクな神経芽細胞腫を見落とさないためにも,疑わしい症例は腫瘍摘出にて診断を確定する必要がある.
【結語】
胎児期,新生児期に見られた副腎腫瘤はエコーでは良性疾患との鑑別が非常に困難で,確実に診断をするために腫瘍摘出術も考慮されるべきである.