Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
産婦人科:その他

(S566)

骨盤内腫瘍に対する経腟超音波ガイド下針生検

Ultrasonography guided transvaginal needle biopsy of tumor in pelvis

小口 秀紀1, 宮崎 のどか1, 鵜飼 真由1, 小出 菜月1, 近藤 真哉1, 古株 哲也1, 邨瀬 智彦1, 原田 統子1, 岸上 靖幸1, 北川 諭2

Hidenori OGUCHI1, Nodoka MIYAZAKI1, Mayu UKAI1, Natsuki KOIDE1, Shinya KONDO1, Tetsuya KOKABU1, Tomohiko MURASE1, Toko HARATA1, Yasuyuki KISHIGAMI1, Satoshi KITAGAWA2

1トヨタ記念病院産婦人科, 2トヨタ記念病院臨床検査科病理

1Department of Obstetetrics and Gynecology, Toyota Memorial Hospital, 2Department of Pathology, Toyota Memorial Hospital

キーワード :

【緒言】
悪性腫瘍が全身に広がっている場合,原発巣の同定が困難な場合があり,どの診療科において,どのような治療を行うか苦慮する場合がある.以前われわれは正常大卵巣癌の診断に経腟超音波ガイド下針生検が有用であることを報告した1).その後,われわれは多発性転移を認める悪性腫瘍や臓器の同定が困難な骨盤内腫瘍の症例に対し,経腟超音波ガイド下針生検を行い,治療方針を決定してきた.
【目的】
今回われわれは,経腟超音波ガイド下針生検の有用性と安全性を後方視的に検討した.
【対象と方法】
2010年3月より2011年9月までに当科で経腟超音波ガイド下針生検を行った15症例を対象とした.経腟超音波ガイド下針生検により腫瘍の臨床進行期が進む可能性のある症例,重篤な合併症が予想される症例は適応外とした.経腟超音波ガイド下針生検はバードモノプティ(18G,25 cm)を用いて,1症例あたり3から5回の生検を行い,生検組織の採取率,病理組織診断率,合併症発症率を検討した.
【成績】
平均年齢は63.3歳で,針生検前の臨床診断の内訳は,原発性悪性卵巣腫瘍7例,転移性卵巣癌1例,後腹膜腫瘍4例,子宮体部腫瘍3例であった.生検回数の平均は3.5回で,病理組織学的に診断できた検体数は症例あたり平均3.1個であり,病理診断が可能であった症例は93.3%(14/15)であった.病理組織診断が可能であった14例の病理組織診断の内訳は,adenocarcinoma 2例,moderately differentiated adenocarcinoma 2例,clear cell adenocarcinoma 1例,endometrioid adenocarcinoma 1例,metastatic adenocarcinoma 1例,plasma cell myeloma 1例,diffuse large B-cell lymphoma 1例,sarcoma 2例,leiomyoma 2例,fibroma 1例で,いずれも治療方針の決定に有用であった.腫瘍が硬く,穿刺針が曲がった症例が1例あったが,合併症の発症率は0%であった.
【結論】
経腟超音波ガイド下針生検は簡便で組織採取の点では有用であるが,採取組織量が少ないため,組織型によっては確定診断が得られない場合がある2).しかし,ほぼ正確に腫瘍組織を採取でき,治療方針の決定に有用な可能性が示唆された.
【参考文献】
1)鈴木史朗,岸上靖幸,田村圭浩,井上明子,紅林伸丈,勝股克成,森脇崇之,三輪忠人,小口秀紀:経膣超音波下卵巣穿刺細胞診にて診断した正常大卵巣癌の2例.超音波医 30:S439,2003
2)宮﨑のどか,近藤真哉,大塚祐基,古株哲也,邨瀬智彦,長谷川育子,原田統子,岸上靖幸,北川 諭,小口秀紀:経腟超音波ガイド下針生検で診断が困難であった進行性卵巣癌の1例.超音波医 38:S515,2011