Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
産婦人科:その他

(S565)

1分娩施設における技師による胎児超音波スクリーニング検査の現状

Actual state of prenatal ultrasound screening by ultrasound technologist at our hospital

竹中 慎1, 3, 河瀬 敬和2, 秋野 亮介1, 3, 三浦 裕子3, 市塚 清健1, 真井 康博3

Shin TAKENAKA1, 3, Hirokazu KAWASE2, Ryosuke AKINO1, 3, Yuko MIURA3, Kiyotake ICHIZUKA1, Yasuhiro SANAI3

1昭和大学産婦人科, 2慶愛病院検査部, 3慶愛病院産婦人科

1obstetrics and gynecology, showa university, 2examination department, keiai hospital, 3obstetrics and gynecology, keiai hospital

キーワード :

【目的】
胎児超音波スクリーニング検査の重要性は国際的に認識されている一方で,産婦人科医師不足の施設が多い我が国においてはそれらの施設で医師が同検査を行うことは時間的観点から難しい現状がある.当院は年間約1200件の分娩があるが,常勤医師三人と非常勤医師数人で診療にあたっており,妊婦健診時に医師が胎児超音波スクリーニング検査を行うことは難しく,これまで系統的に行われていなかった.今回は診療放射線技師による胎児超音波スクリーニング検査の運用を開始したのでその現状と精度および有効性と,その問題点について検討する事を目的とした.
【方法】
2011年2月1日‐2011年12月16日の期間中に当院妊婦健診受診中の全患者のうち胎児超音スクリーニング希望をした妊婦535例を対象とした.産婦人科専門医による2ヶ月間の胎児超音波スクリーニングの指導を受けた1名の診療放射線技師が胎児超音波スクリーニングを行った.検査陽性例については当該部位について超音波専門医によるスクリーニング再検査が行われた.超音波診断装置はGE社製Voluson E8 Expert,4-8MHz広帯域周波数の探触子を使用した.月間平均施行回数,平均施行週数,平均検査所要時間,異常検出率および専門医との陽性一致率を求めた.
【結果】
全施行数:535例でそのうち後方視的に確認できた症例が385例であった.月ごとの平均施行回数:50.4回,平均施行妊娠週数:27週4日,平均検査所要時間は25分であった.スクリーニング陽性例は43例,異常検出率は11.2%であった.その内分けは心奇形症例(心内膜床欠損症,両大血管右室起始症)2例,胎児不整脈1例,先天性横隔膜ヘルニア1例,特発性乳糜胸水1例,十二指腸閉鎖1例,肥厚性幽門狭窄症1例,高度水腎症5例,軽度水腎症18例,脈絡膜嚢胞2例,くも膜嚢胞1例,側脳室拡張4例,大槽拡大2例,羊膜下嚢胞2例,脊椎一部欠損疑い1例,単一臍帯動脈1例であった.専門医によるスクリーニングとの一致率は95%であった.
【結語】
医学的知識不足や妊娠経過の理解不足による所見の取り違いが起こるリスクが想定された.しかしながら,今回の検討では診療放射線技師による胎児超音波スクリーニング検査で陽性となった所見において医師による確認で高い一致率を認めた.技師による胎児超音波スクリーニング検査の普及はスクリーニング検査数を増加させ,胎児異常検出の向上に繋がると思われた.今回の検討結果は1施設での試みであるため,検査のクオリティーの保証には学会による超音波検査師の資格を取得することが次のステップとして必要であると認識された.