Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
産婦人科:その他

(S565)

Light for dateかつ極低出生体重児出産後の次回妊娠での子宮動脈血流波形に関する検討

Subsequent pregnancy outcomes in women with prior pregnancy complicated by both very low birth weight and small for gestational age infant

松下 充, 神農 隆, 松本 美奈子, 村越 毅, 成瀬 寛夫, 中山 理, 鳥居 裕一

Mitsuru MATSUSHITA, Takasi SHINNO, Minako MATSUMOTO, Takeshi MURAKOSHI, Hiroo NARUSE, Satoru NAKAYAMA, Yuuichi TORII

聖隷浜松病院 総合周産期母子医療センター産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Seirei Hamamatsu General Hospital, Maternal and Perinatal Care Center

キーワード :

【緒言】
発育不全児を出産したことは,次回妊娠において発育不全,妊娠高血圧症候群,常位胎盤早期剥離を発症するリスクが高いと言われている.
【目的】
Light for gestational age (LFD)でかつVery low birth weight (VLBW) 児を出産した妊婦の次回妊娠転帰の概要を把握し,次回妊娠における子宮動脈血流波形と妊娠転帰との関連を探る.
【方法】
2002年から2008年までに当院でLFDでかつVLBW児を出産(前回妊娠)した後に,次回妊娠(今妊娠)管理も当院にて施行した21例を対象とした.前回妊娠については,PIH発症の有無,子宮動脈血流波形について検討した.今妊娠については低容量アスピリン内服の有無,妊娠中期の子宮動脈血流波形,妊娠高血圧症候群(PIH)発症の有無,妊娠転帰,LFD児の有無について検討した.子宮動脈血流波形の評価にはMerz.Eの基準値(2005, Ultrasonography in Ob & Gy, Thime)を用い,95パーセントタイル以上をそれぞれPI値上昇とした.LFD児の診断には小川の基準値(1998,新生児誌)を用いた.統計学的検討にはカイ2乗検定もしくはFisherの直接法を用いた.
【結果】
前回妊娠においては,20例が初産婦で,PIH発症を10例で認めた.子宮動脈血流波形が測定された13例全てにPI値上昇を認めていた.今妊娠では,11例(52%)で妊娠初期より低容量アスピリンが投与されていた.妊娠中期の子宮動脈血流波形は全例で測定されており,PI値上昇を10例(48%)で認めた.PIH発症は3例で認めた.超早産児は5例(24%),極低出生体重児は4例(19%)認めた.胎児死亡を2例(10%)認めいずれも超早産児かつ超低出生体重児であった.LFD児は12例(57%)であった.子宮動脈血流波形でPI値上昇を認めた11例中,9例がLFD児であった(P=0.002).低容量アスピリン内服と子宮動脈血流波形,LFD出生との間には関連を認めなかった.
【結語】
今妊娠では,2例で超早産児かつ超低出生体重児となった胎児死亡例を認めた以外は,前回妊娠に比べ在胎週数・出生体重共に大きい傾向にあったが,LFD児を多く認めた.低容量アスピリンの妊娠に及ぼす影響は,分からなかった.