天雲 千晶¹, 伊藤 恵¹, 佐藤 美樹¹, 森 信博¹, 花岡 有為子¹, 金西 賢治¹, 田中 宏和¹, 塩田 敦子¹, 石原 剛², 秦 利之¹

Chiaki TENKUMO¹, Megumi ITO¹, Miki SATO¹, Nobuhiro MORI¹, Uiko HANAOKA¹, Kenji KANENISHI¹, Hirokazu TANAKA¹, Atsuko SHIOTA¹, Tsuyoshi ISHIHARA², Toshiyuki HATA¹

¹香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学, ²三豊総合病院産婦人科

¹DEPARTMENT OF PERINATOLOGY AND GYNECOLOGY, KAGAWA UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE, ²OBSTETRICS AND GYNECOLOGY, MITOYO GENERAL HOSPITAL

キーワード :

【諸言】
McCarthyら^1）は超音波で観察される胎盤辺縁から発生し,子宮腔内に突出する組織を“shelf at the margin of placenta”と表現し,“placental shelf”と名付けた．さらにplacental shelfは周郭胎盤の存在を示唆していることと報告している．妊娠後期に確認されるplacental shelfは常位胎盤早期剥離や早産,FGR,IUFDを引き起こす可能性があるといわれているが,Shenら^2）は妊娠中期に観察されるplacental shelfは良性で周産期予後に悪影響は及ぼさないことを報告している．いずれにせよplacental shelfはamniotic bandやamniotic sheetとの鑑別が必要で,その後の周産期管理のための正確な診断が求められるが2次元超音波のみでは詳細な観察が難しい．今回我々は,3次元超音波を用いてplacental shelfの出生前診断に至った症例を経験したので報告する．
【症例】
35歳女性,4回経妊3回経産．18週2日,羊膜索症候群疑いのため当院へ紹介された．2次元超音波でplacental shelfを認め,3次元超音波でその形態や性状が明瞭に描出できた．Placental shelfは3週後には同定できなくなり,37周4日,選択的帝王切開術で2604g,Aps8/9の男児を娩出した．児に異常は認められなかった．胎盤は480gで,部分性周郭胎盤であった．
【結語】
3次元超音波はplacental shelfの検出と詳細な観察に優れた診断法であると考えられる．Placental shelfが周産期予後に与える影響についての文献的考察も合わせて報告する．
【文献】
　1）McCarthy et al. Circumvallate placenta:Sonographic diagnosis. J Ultrasound Med 1995;14:21-26.
　2）Shen et al. Placental-shelf-a common,typically transient and benign findings on early second-trimester sonography. Ultrasound Obstet Gynecol 2007;29:192-194.