Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
産婦人科:胎児

(S558)

胎児軽度脳室拡大症例における超音波所見に関する検討

Retrospective clinical study on fetal mild ventriculomegaly

生野 寿史1, 芹川 武大2, 高桑 好一1, 田中 憲一2

Kazufumi HAINO1, Takehiro SERIKAWA2, Koichi TAKAKUWA1, Kenichi TANAKA2

1新潟大学医歯学総合病院総合周産期母子医療センター産科, 2新潟大学医歯学総合病院産婦人科

1Maternal and Perinatal Care Center, Niigata University Medical and Dental Hospital, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Niigata University Medical and Dental Hospital

キーワード :

【緒言】
胎児頭部スクリーニングとして側脳室後角部幅(atrial width; AW)を測定することが広く用いられている.AWは週数を問わず10mm未満が正常範囲といわれているが,10-15mmの軽度脳室拡大を呈する胎児の予後に関しては不明な点が多く,本邦における報告も極めて少ない.当科での軽度脳室拡大症例の超音波所見および妊娠・出生後経過に関して検討を行った.
【方法】
2005年4月から2011年4月までの期間において胎児超音波検査で両側または片側のAWが10.0-15.0mmであった症例を軽度脳室拡大(mild ventriculomegaly; MV)と定義し,出生後経過が追跡可能であった14症例を対象とした.これらの症例に関して出生前超音波所見および妊娠・出生後経過について後方視的に検討を行った.
【結果】
母体年齢は23-38歳(平均31.1歳).診断時のAWは10.0mm以上12.0mm未満:10例,12.0mm以上14.0mm未満:3例,14.0mm以上15.0mm以下:1例(平均11.4mm)であり,診断週数は妊娠18週1日- 37週2日(平均29週1日)であった.両側性の拡大が認められたのは7例(50.0%)であった.出生後診断は,先天性サイトメガロウイルス感染症2例,脳梁欠損1例,CHARGE症候群1例,Apert症候群1例,脳瘤1例(人工妊娠中絶),透明中隔嚢胞に伴う水頭症1例,脳室内出血1例という結果であり,合併形態異常を認めない軽度脳室拡大(isolated mild ventriculomegaly; IMV)は6例(42.9%)であった.IMV症例とそれ以外のMV症例における検討では,AW最大値・AW12mm以上の拡大・AW拡大傾向の有無・性差について違いは認めなかったが,MV症例において両側性拡大を呈した例が高い傾向にあった(p=0.051).人工妊娠中絶例を除く13例の出生後予後は,IMV症例は全例正常発育を認めているが,MV症例7例中4例(57.1%)に何らかの発達障害を認めている(観察期間:13-36ヵ月).
【結論】
合併形態異常を認めるMV症例では両側性のAW拡大を呈する頻度が高い傾向にあり,出生後の発達障害が高率に認められた.MV症例かつ両側性拡大を呈する例では,超音波および胎児MRI検査等による合併形態異常の検索が重要であると考えられた.