澁谷 友美, 後藤 隆, 大西 洋英

Tomomi SHIBUYA, Takashi GOTO, Hirohide OONISHI

秋田大学医学部附属病院消化器内科学・神経内科学講座

Division of Gastroenterology and Neurology, Akita University School of Medicine

キーワード :

【目的】
収束超音波パルスの音響放射圧を用いて生体組織内に微妙な変異を生じさせ,組織の固さの情報を得る Acoustic Radiation Force Impulse （ARFI） による Virtual Touch TIssue Quantification （VTTQ） が実用化されている．一方加齢により臓器内に線維化や脂肪沈着が顕在化することは以前より知られている．今回我々は肝臓と膵臓のVTTQ測定値と,年齢および性別との相関を検討した．
【方法】
対象はVTTQにて超音波検査を試行した肝疾患のない38例（31-83歳,平均61±16歳,男性17例,女性21例）と膵疾患のない16例（27-80歳,平均60±16歳,男性5例,女性11例）である．肝S5領域を右肋間より連続6回測定した．膵臓は膵体尾部を肝臓を介して連続6回測定し中央値を用いた．年齢との相関はスピアマンの相関係数により検討した．
【結果】
肝疾患のない肝臓のVTTQ測定平均値は Vs=1.05±0.17（m/s）であった．年齢との相関係数はr=-0.2265と有意な相関を認めず（p=0.58） 性差を認めなかった （男性58.9 ± 14.5（m/s）, 女性61.8 ± 16.4（m/s）, p=0.1192）. 膵疾患のない膵臓のVTTQ測定平均値は Vs=1.28±0.32（m/s）であった．年齢との相関係数はr=0.1709と有意な相関を認めず（p=0.53）, 性差を認めなかった （男性1.17±0.28（m/s）, 女性1.32±0.34（m/s）, p=0.42）.
【結論】
肝疾患のない肝臓のVTTQ平均値はVs=1.05±0.17（m/s）であり,年齢および性別との相関を認めなかった．膵疾患のない膵臓のVTTQ平均値はVs=1.28±0.32（m/s）であり,肝臓と同様に年齢及び性別との相関を認めなかった．