Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
消化器:消化管・脾臓

(S551)

当施設での腸閉塞53人の手術所見と腹部CT所見の比較検討 -腸閉塞の超音波診断の為に-

Abdminal CT findings compared with operation findings of 53 patients of ileus in our institute:for ultrasonographic diagnosis of ileus

佐々木 崇1, 平賀 真雄1, 中村 克也1, 坂口 右己1, 林 尚美1, 大久保 友紀1, 塩屋 晋吾1, 重田 浩一朗2

Takashi SASAKI1, Masao HIRAGA1, Katsuya NAKAMURA1, Yuuki SAKAGUCHI1, Naomi HAYASHI1, Yuki OOKUBO1, Shingo SHIOYA1, Kouichirou SHIGETA2

1霧島市立医師会医療センター超音波検査室, 2霧島市立医師会医療センター消化器内科

1Department of Ultrasound, Kirishima Medical Center, 2Department of Gastroenterology, Kirishima Medical Center

キーワード :

【目的】
腸閉塞であるかどうかの超音波診断は比較的容易であるが,腸閉塞の原因が何であるかの判断は難しい場合が多い.今回我々は当院での腸閉塞の手術症例において腹部CTと術中所見を対比し,その所見を超音波で評価できるかどうかを,検討した.
【対象と検討方法】
2008年3月〜2011年10月までの間で,当院にて腸閉塞の診断で手術を施行した53例.手術記録にて手術既往の有無,腹部術創の有無,その部位,腸閉塞の原因・部位を確認し,CT画像にて腸閉塞の原因の部位がわかるかどうかの検討を行った.
【結果】
53例中,手術既往のあるイレウスは31例(58%)で,癒着性イレウス16例・絞厄性イレウス(内ヘルニアを含む)15例であった.これに対し手術既往のないイレウスは22例(42%)で,絞厄性イレウス3例・外ヘルニアの嵌頓16例・腫瘍性イレウス3例であった.手術既往のあるイレウスでは術創直下もしくは近傍の癒着による閉塞があった物が14例,深部の癒着による閉塞が14例・内ヘルニアの症例が3例であった.内ヘルニア症例のうち膵頭十二指腸切除後の2例ではいずれも横行結腸間膜裂孔への内ヘルニアであった.手術既往のないイレウスでは絞厄性イレウスの3例全てで深部にバンドによる閉塞があった.外ヘルニアの嵌頓症例では,腿ヘルニア5例・閉鎖孔ヘルニア6例・鼠径ヘルニア2例で男女比は4:9で年齢は70〜90才と高齢での発症であった.腫瘍性イレウスは大腸癌の症例が2例,小腸腫瘍の症例が1例であった.
【結論】
今回の検討では手術を要するイレウスの52%に手術既往があり,その約半数(全体の26%)は腹壁術創近傍の癒着が原因であり,残りの約半数(全体の32%)は術創より深部の腹腔内や内ヘルニアが原因であった.又手術歴のない患者も42%あり,その原因として外ヘルニアや腫瘍も重要である.腸閉塞の超音波検査を行う際,上記の様な事を念頭におき検査を行う必要があると考えられた.