Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
消化器:胆膵

(S550)

当院で経験した膵内副脾についての検討

Examination of intrapancreatic accessory spleens in this hospital

佐々木 綾香1, 後藤 規弘1, 松森 友昭1, 井谷 智尚1, 三村 純1, 森 悠香2, 山野 愛美2, 登尾 薫2, 佐藤 信浩2, 内田 浩也2

Ayaka SASAKI1, Norihiro GOTO1, Tomoaki MATUMORI1, Toshinao ITANI1, Jun MIMURA1, Yuuka MORI2, Manami YAMANO2, Kaoru NOBORIO2, Nobuhiro SATO2, Hiroya UCHIDA2

1西神戸医療センター消化器科, 2西神戸医療センター臨床検査技術部

1Department of Gastroenterology, Nishi Kobe Medical Center, 2Department of Clinical Laboratory, Nishi Kobe Medical Center

キーワード :

【はじめに】
副脾は,日常診療においてしばしば遭遇するが,膵尾部に発生する副脾は稀であり,他の膵腫瘍の診断で手術が施行され,術後にはじめて診断されることも多い.今回,我々は腹部超音波検査を施行した際に指摘し得た膵内副脾について検討したので報告する.
【対象と方法】
2004年4月から2011年11月末までに当院で経験した膵内副脾6例を対象とした.内訳は,男性4例,女性2例,年齢中央値66歳(36-79歳)であり,それぞれの臨床像,画像診断,病理標本との対比,治療経過などについて検討した.
【結果】
6例全例において,膵内の結節はいずれも超音波検査にてlow echoic noduleとして描出された.手術を施行した症例は3例であったが,3例の術前診断は内分泌腫瘍,粘液性嚢胞腫瘍,腺房細胞腫瘍でいずれも悪性が否定できない腫瘍であった.術後病理組織検査にて2例は膵内副脾,1例は膵内副脾に発生したepidermoid cyst(類表皮嚢胞)と確定診断した.手術を施行しなかった3例については,SPIO造影MRI検査,99mTc標識スズコロイドを用いた肝脾シンチグラフィーなどから膵内副脾を疑い,腹部超音波検査やCT検査にて経過観察しているが,サイズの増大などは認めない.膵内副脾に発生したepidermoid cystの症例は非常に稀であるため報告する.
【症例】
61歳女性.スクリーニング目的の腹部超音波検査にて膵尾部に18mm大の内部に嚢胞を有する腫瘤を指摘された.MRI検査にて嚢胞周囲に造影効果を認め,DUPAN-2 458 U/mlと上昇していた.粘液性嚢胞腫瘍が疑われ,脾温存膵尾部切除術が施行された.病理組織検査の結果,膵内副脾に発生したepidermoid cystと診断された.
【考察】
膵尾部に超音波検査にて内部均一なlow echoic noduleとして描出され,CTやMRI検査にて脾臓と同程度に造影される腫瘤を認めた場合,膵内副脾の存在を念頭に置く必要がある.その確定診断にはSPIO造影MRI,肝脾RIシンチグラフィー検査を駆使するが,診断は容易ではない.今後はSonazoid造影超音波検査なども施行することを検討中である.また,膵尾部に発生した嚢胞性疾患で,充実性部分と嚢胞性部分が存在する場合には,膵内副脾に発生したepidermoid cystの可能性も考慮する必要がある.