Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
消化器:肝1

(S544)

VTTQを用いた C型肝硬変患者における肝細胞癌高危険群の判定

Evaluation of high risk of hepatocellular carcinoma with cirrhosis associated HCV using Virtual Touch Tissue Quantification

新垣 直樹, 玉井 秀幸, 森 良幸, 森畠 康策, 上田 和樹, 前北 隆雄, 井口 幹崇, 加藤 順, 一瀬 雅夫

Naoki SHINGAKI, Hideyuki TAMAI, Yosiyuki MORI, Kosaku MORIBATA, Kazuki UEDA, Takao MAEKITA, Mikitaka IGUCHI, Jun KATO, Masao ICHINOSE

和歌山県立医科大学第二内科

nd department of internal medicine, Wakayama medical university

キーワード :

【目的】
C型慢性肝疾患において肝線維化を診断することは発癌リスクを評価する上で臨床上重要である.非侵襲的肝線維化測定法として,Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)はPush Pulseの送信により生じた組織の歪みが元に戻る際に発生するせん断弾性波速度(shear wave velocity:Vs)の測定により組織の硬度を定量化可能であり,線維化の層別化が可能であることが報告されている.一方で,肝硬変患者の中でもVsの値には差異があり,より高度の線維化進行例の存在が示唆される.今回我々は,VTTQを用いた超高線維化群の層別化による肝癌リスク評価の検討を行った.
【対象・方法】
対象は,組織評価でF4と判定された例及び画像診断や門脈圧亢進症を合併するなど臨床的に肝硬変と診断されたC型肝炎患者125例.平均年齢72.3±8.1歳.男性65例,女性60例.担癌(肝細胞癌)患者71例.使用機種は持田シーメンス社 Acuson S2000.右肋間走査で肝右葉の肝表から2cmの部位にROIを設定し,VTTQを用いてVsの測定を10回施行し,その平均値を算出した.担癌患者と非担癌患者でVsを比較し,ROC曲線を用いてVsのcut off値を求め,超高度線維化群の肝細胞癌リスクを検討した.
【結果】
非担癌患者と担癌患者では平均年齢はそれぞれ70.1±8.4歳,73.9±7.6歳で有意差(p=0.009)を認めた.Vs平均値はそれぞれ2.12±0.81m/s,2.47±0.71m/sで有意に担癌患者で高値であった(p=0.012).ROC曲線を用いてVsのcut off値を算出し,最適cut off値は2.35とした.Vs>2.35の超高線維化群は57例であり,そのうち担癌患者は40例(70.2%)であり,計算上の肝細胞癌リスクは約2.6倍であった.
【結語】
VTTQによる線維化評価はC型肝硬変患者をさらに層別化し,より肝細胞癌リスクの高い症例の判定に使用できる可能性が示唆された.