Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
循環器:症例4

(S536)

心エコーにより証明された右房内伸展を認めた肝細胞癌の1例

Echocardiography revealed the invasion of hepatocellular carcinoma into the right atrium

畠山 裕志1, 氏原 好恵1, 植村 千佳子1, 富田 純子2, 小野 彰範2, 新谷 憲治2

Hiroshi HATAKEYAMA1, Yoshie UJIHARA1, Chikako UEMURA1, Junko TOMITA2, Akinori ONO2, Kenji NIIYA2

1笠岡市立市民病院生理検査室, 2笠岡市立市民病院内科

1Department of Physical Laboratory, Kasaoka City Hospital, 2Department of Internal Medicine, Kasaoka City Hospital

キーワード :

【症例】
86歳,女性.
【主訴】
食欲不振,倦怠感.
【既往歴】
肝細胞癌,C型肝炎,肝硬変.
【現病歴】
倦怠感を主訴に当院外来を受診.肝腫瘍を認め,肝細胞癌と診断されTAE目的で転院となった.しかし治療を希望せず経過観察目的で当院外来を再受診した.
【心エコー所見】
AoD 27mm,LAD 43mm, LVDd 41mm, LVDs 25mm, RV 30mm, FS 41%, EF 72%, IVC 17/15mm TR 重症,TRPG 70.7mmHg, PFO (+), QP/QS 1.14.右房内下大静脈流入口から16mm×66mm大の可動性を有する紐状の腫瘍性病変を認めた.
【経過】
11月4日経過観察目的で当院外来を再受診.スクリーニング目的で心エコーを施行したところ,下大静脈から右房内へ伸展する腫瘤像を認めた.
【結語】
肝細胞癌が直接,右房内に伸展した症例を経験した.下大静脈から右房内へ伸展する肝細胞癌は比較的まれといわれ,文献上も症例報告として散見されるのみである.合併症として腫瘍性肺塞栓や右心不全があり,当症例では卵円孔開存も存在しているため奇異性塞栓症の可能性も念頭におく必要がある.肝細胞癌においても心エコー検査は有用であると考えられた.