Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
循環器:症例2

(S527)

僧帽弁後尖基部左室側に異常エコーをみとめた1例

A case of abnormal echo in the left ventricular side of posterior mitral leaflet

水上 雪香, 渡部 徹也, 上松 正朗

Yukika MIZUKAMI, Tetsuya WATANABE, Masaaki UEMATSU

関西労災病院循環器内科

Cardiovascular Center, Kansai Rosai Hospital

キーワード :

症例は70歳代男性.既往歴に特記すべき疾患はなし.平成23年5月に歯科での治療歴あり.同年9月頃より夜間の発熱を繰り返していた.10月20日発熱の原因精査のため前医に入院.経胸壁心エコー図にて左室内に疣贅を疑う所見をみとめたため,感染性心内膜炎の精査,加療目的で当院紹介受診となった.来院時の血液所見上,白血球,CRP等炎症反応の増加をみとめた.血液培養は全て陰性であった.心電図は洞調律であり,心エコー図上,左室拡張末期径48mm,左室収縮末期径 28mm,左室駆出率 70%,左房径 37mm,僧帽弁の逆流は軽度であった.左室内僧帽弁後尖弁輪付近に27×14mmのやや高輝度で均一な可動性の腫瘤像をみとめた.僧帽弁前尖につながる腱索に肥厚をみとめており感染性心内膜炎を否定できず,また,腫瘤に可動性があったことより緊急手術となった.手術所見では僧帽弁腱索から左室後壁にかけて疣贅様の腫瘤をみとめ,腫瘤は心室の乳頭筋に食い込むような形で付着していた.腫瘤を摘出後,僧帽弁置換術(CEP弁 27mm)を施行した.僧帽弁に付着していた腫瘤は病理所見上,フィブリンと好中球の浸潤をみとめ,明らかな細菌,真菌像,腫瘍性の所見は認めなかった.術後バンコマイシンとメロペネムの投与を行い,発熱,炎症所見は改善.11月30日に退院となった.当症例では血液培養は陰性であり,出血斑,塞栓等の症状はみとめなかった.以上よりDuke診断基準は満たさず,感染性心内膜炎の確定診断には至らなかったが,臨床経過と摘出された腫瘤の病理所見より感染性心内膜炎の可能性が高いと考えられた.左室内に異常エコーをみとめた一例を経験したので報告する.