Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
循環器:症例1

(S525)

エコー上乳頭状線維弾性腫に似た特徴を示した左房粘液腫の一手術例

Left atrial myxoma mimicking papillary fibroelastoma

尾田 毅1, 田代 英樹2, 高瀬谷 徹1, 尼子 真生1, 財満 康之1, 川良 武美1, 安永 弘1

Takeshi ODA1, Hideki TASHIRO2, Tohru TAKASEYA1, Mau AMAKO1, Yasuyuki ZAIMA1, Takemi KAWARA1, Hiroshi YASUNAGA1

1雪の聖母会 聖マリア病院心臓血管外科, 2雪の聖母会 聖マリア病院循環器科

1Cardiovascular Surgery, St. Mary’s Hospital, 2Cardiology, St. Mary’s Hospital

キーワード :

67歳女性.整形外科手術後の深部静脈血栓に対し血栓溶解療法を行い,血栓は消失した.治療中に施行した経胸壁心エコーにて心房中隔に付着する14x10mm大の可動性のある左房腫瘍を認めた.経食道心エコーでは腫瘍に小さな角状の付着物が存在し,茎ははっきりしなかった.頭部CTにて左基底核に梗塞巣を認め,心原性塞栓症も疑われたため手術を行うこととなった.経心房中隔アプローチで左房腫瘍を外科的マージンを含めて摘出し,心房中隔欠損部は自己心膜パッチで閉鎖した.摘出した腫瘍を生理食塩水に浸すと,イソギンチャク様の外観を示し,乳頭状線維弾性腫が疑われた.ヘマトキシリンエオジン染色では粘液腫細胞を認め,免疫染色ではCD31, CD34, calretininが陽性であったため,最終診断は粘液腫となった.乳頭状線維弾性腫は心臓腫瘍全体の約10%を占める比較的稀な腫瘍であり,心臓弁組織から発生することが多く,直径1cm程度で,塞栓症を引き起こしやすい.本症例では腫瘍の存在部位からは粘液腫が疑われたが,形態,サイズ,塞栓症の合併という点からは乳頭状線維弾性腫がより強く示唆された.病理診断から最終診断は粘液腫とした.経胸壁心エコー,経食道心エコー,摘出標本のマクロおよびミクロの画像に文献的考察も加え報告する.