Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
循環器:循環器

(S523)

年齢,性差,重症度は大動脈弁狭窄症の進行に影響を及ぼすか?

Do Age, gender, severity of illness affect the progression of aortic valve stenosis ?

中園 朱実1, 芳谷 英俊2, 春木 伸彦2, 坂本 恭子1, 夕川 佐和美1, 戸出 浩之3, 山下 英治4, 木村 聡1, 竹内 正明2, 尾辻 豊2

Akemi NAKAZONO1, Hidetoshi YOSHITANI2, Nobuhiko HARUKI2, Kyoko SAKAMOTO1, Sawami YUKAWA1, Hiroyuki TOIDE3, Eiji YAMASHITA4, Satoshi KIMURA1, Masaaki TAKEUCHI2, Yutaka OTSUJI2

1産業医科大学病院臨床検査・輸血部, 2産業医科大学病院第2内科, 3群馬県立心臓血管センター技術部, 4群馬県立心臓血管センター循環器内科

1Department of Laboratory and Transfusion Medicine, University of Occupational and Environmental Health, 2The Second Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health, 3Department of Cardiovascular Echo Laboratory, Gunma Prefectural Cardiovascular Center, 4Cardiovascular Internal medicine, Gunma Prefectural Cardiovascular Center

キーワード :

【背景】
人口の高齢化に伴い加齢変性による大動脈弁狭窄症(AS)は増加の一途をたどっている.ASの手術時期を予測する上で年間進行速度を算出することは重要である.
【目的】
AS重症度の年間進行速度に影響を与える因子を検討すること.
【対象】
2007年2月から2011年11月までの間に当院及び群馬県立心臓血管センターの2施設で心エコー図検査をおこなった症例のうち,6か月以上間隔をあけて評価をおこなった動脈硬化性ASもしくは大動脈弁硬化症の179例(男性:74人,平均年齢74±9才,平均検査間隔:424±182日)を対象とした.明らかな二尖弁,リウマチ性AS症例は除外した.
【方法】
心エコー図検査より計測した大動脈弁最大通過血流速度(PV)及び連続の式より算出した大動脈弁口面積を体表面積で補正したIndexed-AVA(AVAI)をそれぞれ2回計測した差よりPVおよびAVAIの変化を算出した.この差を2回の検査間隔(日数)から補正することにより年間PV変化(ΔPV),年間AVAI変化(ΔAVAI)を推定し,性別,年齢,初回心エコー図検査でのASの重症度による違いを比較検討した.
【結果及び考察】
全症例におけるASの進行はΔPV:0.20±0.42m/s,ΔAVAI:-0.05±0.11cm2/m2であった.性別,年齢<70 or 70≦,PV<3m/s or 3m/s≦ではASの進行速度に有意差は認めなかった(表参照).初回心エコー図検査でのAVAIで分類したところ(<0.85 cm2/m2 or 0.85 cm2/m2≦)ΔAVAIは<0.85 cm2/m2の方が小さい傾向であったがΔAVAIを初回AVAIで除したAVAI変化率では有意差なく,弁口面積が小さくとも同じ割合でASが進行する可能性が考えられた.ΔAVAIに影響を与える因子を検討するために年齢,性別,血液透析の有無,初回のPV,AVAIにおいて重回帰分析を行ったところ,初回のPV,AVAIが有意に影響を与える因子として残った(P<0.01).
【結語】
ASの進行を推測する際,その時点でのASの重症度が重要な因子である可能性が示唆された.