Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
循環器:循環器

(S521)

ドブタミン負荷三次元心エコー図法を用いて左室full volume 解析を行った6症例

Six cases of left ventricle full volume analysis using Real-time three-dimensional dobutamine stress echocardiography

池田 昌絵1, 梶川 隆1, 竹本 俊二1, 渡邊 敦之2

Masae IKEDA1, Yutaka KAJIKAWA1, Syunji TAKEMOTO1, Atuyuki WATANABE2

1独立行政法人 国立病院機構 福山医療センター循環器内科, 2福山市民病院循環器内科

1Division of Cardiology, National Hospital Organization Fukuyama Medical Center, 2Division of Cardiology, Fukuyama City Hospital

キーワード :

【背景・目的】
日常臨床において,5γ未満のごく少量のドブタミンに依存し,カテコラミン離脱困難となった結果,CRT導入を検討される症例がしばしば経験される.ドブタミン負荷心エコーを用いた左室viabilityの評価及び左室非同期運動の評価がCRTのresponder予測に有効であったという報告があるが,これらの報告では,5〜20γの低用量のドブタミン負荷エコーを行うことで潜在的な左室非同期運動を顕著化させ,responder予測に有効であると述べられている.しかし,日常臨床におけるごく少量のドブタミン投与量で左室非同期運動の変化は報告されていない.
【対象・方法】
使用したエコー機器はPhilips社製 iE33を使用し,左室非同期運動の解析はQLAB8.1 softwareを用いて行った.経胸壁心エコーにて左室非同期運動を認め,CRT導入を検討することとなった6症例に対して,日常臨床で用いる5γ以下のドブタミン投与量を含めたドブタミン負荷心エコーを行い,左室非同期運動の変化の観察を行った.ドブタミン1γ投与から開始し,3γ,5γ,10γの超低用量〜低用量ドブタミン負荷を行った.左室非同期運動の程度を左室fullvolume解析を用いて左室各セグメントごとの左室容積の変化のタイミングをTime to minimum systolic volume 16SD(Tmsv16SD)で評価.また,eye ballによる左室非同期運動の程度を検者3名でshuffle motion,septal flashについて0〜3のスコア評価を行った.
【結果】
負荷前のTmsv16SDは12.41±3.99%と高値であった.1γまたは3γにてTmsv16SD値の低下を認め,10γにて左室非同期運動の増悪が認められた.eye ballによる左室非同期運動のeye ballによるスコアも1γまたは3γにて低下する傾向が観察された.
【考察】
局所左室容量変化による左室非同期運動の評価は高度の左室収縮機能低下例では評価が困難であるという報告もあるが,今回の症例ではeye ballによるスコアの増減と同様の傾向が認められた.今回は症例数が少なく,今後症例を重ねて検討すべきと考えるが,左室非同期運動は日常の心不全治療の過程でも変化し,低用量ドブタミン依存の患者についてはドブタミンが左室非同期運動を改善している可能性が示唆された.