Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
基礎:基礎

(S516)

VTTQとMR Elastographyの定量ファントムを用いた比較評価

Comparison of VTTQ and MR Elastography using quantitative phantom

小山 敦久1, 菅 幹生1, 岸本 理和2, 小澤 慎也1, 池田 啓1, 若山 哲也3, 小畠 隆行2, 辻 比呂志2

Atsuhisa KOYAMA1, Mikio SUGA1, Riwa KISHIMOTO2, Shinya OZAWA1, Hajime IKEDA1, Tetsuya WAKAYAMA3, Takayuki OBATA2, Hiroshi TSUJI2

1千葉大学大学院工学研究科, 2放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院, 3GEヘルスケア・ジャパン株式会社技術本部研究開発部

1Graduate School of Engineering, Chiba University, 2Center Hospital, National Institute of Radiological Sciences, 3Applied Science Laboratory Asia Pacific, GE Healthcare Japan

キーワード :

【目的】
組織弾性イメージングの手法として超音波エラストグラフィとMRエラストグラフィ (magnetic resonance elastography: MRE)がある.超音波エラストグラフィは臨床機に搭載され,組織弾性の定性的・半定量的な評価に利用されている.近年,硬さとせん断弾性波速度の関係を利用した定量的な評価手法であるVirtual Touch Tissue Quantification (VTTQ)が利用可能となった.本研究では,弾性ファントムを用いてVTTQとMREの定量性を比較評価した.
【方法】
ポリアクリルアミドを用いて4種類の弾性ファントム(貯蔵弾性率:3.1, 6.8, 16, 25 kPa)を作成した. VTTQによる測定では4 MHzコンベックス(4C)と9 MHzリニア(9L)プローブを利用した.各ファントムを10回測定し,平均値と標準偏差を算出した.プローブを対象に押し当てる力を一定とするために,プローブと対象は治具で固定して測定した.ただし,25 kPaファントムは4Cの測定レンジ外のため測定していない. MREは125 Hzの空気圧加振で撮像し,関心領域内での平均値と標準偏差を算出した.MREで得られる測定値は弾性率の値であるので,VTTQと比較するために弾性率μとせん断弾性波速度Vsの関係式,μ=ρVs2と物質密度ρ=1000 kg/m3が成り立つと仮定してせん断弾性波速度に変換した.この式により変換すると各ファントムのせん断弾性波速度はそれぞれ1.76, 2.61, 4.00, 5.00 m/sとなる.
【結果】
VTTQは4C, 9Lともに再現性が高かった.4Cでの測定は6.8 kPaファントムで測定値が2.63 ± 0.05 m/sになり,定量性が高かったが,3.1 kPaファントムでは測定値は2.17 ± 0.01 m/sと23%高い誤差が生じ,16 kPaファントムの測定値は2.77 ± 0.14 m/sと31%低い誤差が生じた.9Lでは6.8 kPaと16 kPaファントムでの測定値はそれぞれ2.72 ± 0.00 m/sと4.15 ± 0.04 m/sになり,定量性が高かったが,3.1 kPaファントムでは測定値は2.25 ± 0.00 kPa と27%高い誤差が生じた.MREはファントムの弾性率に依存した誤差の傾向はなく,どのファントムに対しても物理測定値との差は±7%以下になった.
【結論】
VTTQによる推定値は4Cでは6.8 kPaファントム,9Lでは6.8 kPaと16 kPaファントムにおいて,MREによる推定値は弾性率によらず物理的推定値とよく一致した.VTTQはMREに比べて簡便な測定法であるが,弾性率によっては20%以上の差が生じることがあるため,特性を理解して測定法を選択する必要があると考えられる.