Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
基礎:基礎

(S511)

臨床動態計測用ウエアラブル空中超音波ドプラシステムの設計,試作および試用について

A Wearable Airborne Ultrasound Doppler System, its Design, Prototyping and Experience

竹内 康人

Yasuhito TAKEUCHI

無所属

Self-employed, Unaffikiated (Self-employed)

キーワード :

【研究の背景】
生体軟部組織中の(最近は骨まで含まれるようだが)超音波を医用計測,医用画像観察ないし加療を主旨として利用する学問というのが本学会の開闢以来の立場であったかと理解するが,超音波技術はこれに限らず気相,液相また固相をカバーする非常に間口が広い学問技術である.周波数数十KHzないし数百KHzの空中超音波はエコーレンジングシステム,ドプラシステムとも数メートル程度の短距離における距離計測や観測領域への異物の侵入の検出,また自動開閉ドアなどの目的でマイクロ波ないしミリ波の同様なシステムとともに各々の長短をあい競いつつ長年にわたり実用されて来た.ここでは改めてそのような空中超音波が医用計測(ないし将来的には医用画像診断にも)に大きな役割を担い得る事を提示する.本学術集会で松本らが別報する如く,空中を伝搬する超音波によりドプラシステムを構築する事で,放尿された尿の速度や瞬時流量を誠に手軽かつ正鵠に観測また計測する事が出来る.ここではそのハードウエアの設計,試作,試用の一例を紹介する.
【課題と手段】
40KHzの圧電素子共振噐による汎用空中超音波送受波器は小売り単価百円で中学生でも買える.これを用いて図示のブロック図の構成により単一振動子式のCWドプラ送受信機を構成する.振動子を送受に共用するために特別にブリッジ回路やハイブリッドトランスを用いる事はしない.試作プロトタイプシステムは人指し指に嵌めるセンサ(送受波器)を有し,支援電子回路はバラック造りでも全体として手のひらに収まる名刺大の小型軽量である.これを装身可能なウエアラブル構成に仕立てる事は容易であると考える.
【結果とその考察】
エコー原としては微弱な生体内部の組織界面と異なり空中を走行する水滴(尿滴)のエコー原性は非常に大きいので,数mWの送信電力で数メートル先の水滴もそのドプラ信号は非常に良く受かる.得られたドプラ信号から得られた時系列ドプラスペクトラムは,その頂点の軌跡が本学術集会で松本らが別報する如く従来手法のメスカップ式の装置による尿流曲線と定性的に非常に良く合致する事が証明された.
【結論】
40KHzの空中超音波CWドプラシステムにより放尿された尿を動態計測する事は容易に可能であり,大きな発展が期待出来る事が証明された.