Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科

(S507)

超音波ガイド下に関節鏡を挿入して嚢胞除去を施行した1例 -棘上窩嚢胞に対して-

A case report : Ultrasound-guided arthroscope insertion for removal of a supraspinous fossa cyst.

橋内 智尚1, 酒本 佳洋2, 櫻井 悟良1, 二階堂 亮平3, 高倉 義典1, 田中 康仁2

Tomohisa HASHIUCHI1, Yoshihiro SAKAMOTO2, Goro SAKURAI1, Ryouhei NIKAIDO3, Yoshinori TAKAKURA1, Yasuhito TANAKA2

1西奈良中央病院整形外科, 2奈良県立医科大学整形外科, 3宇陀市立病院整形外科

1Orthopaedic Surgery, Nishinara Central Hospital, 2Orthopaedic Surgery, Nara Medical University, 3Orthopaedic Surgery, Uda City Hospital

キーワード :

肩甲骨棘上窩に発生した嚢胞により,肩甲上神経麻痺が出現した症例に対して,超音波ガイド下に関節鏡を挿入し,嚢胞除去による神経除圧術を施行した.関節鏡は低侵襲に処置を行える一方で,手術操作はモニターを介して行わなければならないうえ,鏡視できる範囲は限られており,病巣部全体を把握しにくい欠点がある.このため正確な解剖学的知識と技術,経験が必要とされる.また,嚢胞はその被膜と周囲の軟部組織との境界が不明瞭であることが多く,嚢胞を鏡視すること自体に難渋することがある.結果的にRadio frequency deviceなどで広範囲に嚢胞周囲の組織を除去することになり,本来低侵襲であるはずの鏡視下手術が,侵襲的な手術となりかねない.しかし,超音波ガイド下に関節鏡を嚢胞部まで誘導することができれば,最小限の組織除去で嚢胞の鏡視が可能となり,より低侵襲の手術となる.また,嚢胞除去の確認を術中に行うことも超音波断層装置を用いれば可能である.今回我々は,肩甲骨棘上窩に発生した嚢胞に対して,超音波ガイド下に関節鏡を誘導し,比較的容易に病巣部を鏡視して,嚢胞除去による神経除圧を行った症例を経験したので報告する.