Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科

(S506)

関節リウマチ患者の関節腫脹検出-触診 VS 超音波-

Reliability of evaluation of swelling joints in rheumatoid arthritis byphysician and patients: A comparison study with ultrasound

武田 節子1, 杉岡 優子2, 澤田 あゆみ1, 真本 建司2, 岡野 匡志2, 多田 昌弘2, 中尾 満1, 小池 達也3

Setsuko TAKEDA1, Yuuko SUGIOKA2, Ayumi SAWADA1, Kenji MAMOTO2, Tadashi OKANO2, Masahiro TADA2, Mitsuru NAKAO1, Tatsuya KOIKE3

1公立大学法人大阪市立大学医学部附属病院中央臨床検査部, 2公立大学法人大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学, 3公立大学法人大阪市立大学大学院医学研究科 リウマチ外科学

1Central Clinical Laboratory, Osaka City University Hospital, 2Department of Orthopeadic Surgery, Osaka City University Medical School, 3Department of Rheumatosurgery, Osaka City University Medical School

キーワード :

【目的】
関節リウマチ(RA)診療において,関節評価は疾患活動性を決定する重要な要素であるが,関節腫脹の有無は,主治医の評価にのみ依存しており,客観的評価として正確とは言い難い.しかし,近年,関節超音波検査(US)が導入され,リアルタイムに滑膜炎を正確に検出できるようになり,触診にてどのくらい関節腫脹を検出できているかについてフィードバックが可能となった.今回我々はUSでRA患者の関節評価を行い,かつUSにて定義した関節腫脹が触診でどの程度検出できているか比較検討を行ったので報告する.
【方法】
当院整形外科通院中のRA患者81名が対象.患者の平均年齢61.2歳,女性が90%,平均罹病期間は11.8年であった.計測部位は両手関節(橈側,中央,尺側の3カ所)・metacarpophalangeal(MP)・proximal interphalangeal(PIP)関節の22関節26カ所とした.使用装置はHITACHI HI VISION Avius,リニア型プローブ; 6〜14MHzを使用し,背側アプローチにて関節評価をおこなった.触知可能な関節腫脹をグレースケール(GS,grade0-3でスコア化)で grade2以上と定義し,患者の自己報告と主治医及び,独立した評価医による触診での腫脹関節の検出感度について比較検討した.またパワードプラ(PD,grade0-3でスコア化)も同時に観察し,grade1以上を陽性と定義し,病態評価も併せて検討した.
【結果】
USにおいてGSの平均スコアは15/78点,PDスコアは8/78点で,Disease activety score28と有意な正の相関関係(それぞれR=0.512, 0.411; p<0.001)が認められた.またGSスコアとPDスコアにも強い正の相関関係(R=0.685, p<0.001)を認めた.US上の関節腫脹(grade2以上)は計測部位の18%に存在し,そのうち80%はPDが陽性(grade1以上)であった.関節別に比較すると手関節の中央(橈骨-月状骨間)がもっとも腫脹割合が高く(53%),手指の関節では,示指のMP関節の25%が最も高かった.主治医,評価医による触診での腫脹関節の検出感度は48%及び49%で,自己報告では34%,特異度はそれぞれ92%,96%,92%であった.MP関節の検出感度は医師の触診でも30%以下で最も低い結果となった.また,US上の腫脹を認め,かつPDが陽性であった関節の触診による検出感度は主治医66%,評価医が69%で,腫脹のある活動性関節も触診では十分に検出できていなかった.
【結論】
本研究では限られた関節のみの測定であるが,関節超音波検査の結果は疾患活動性との相関関係も強く,関節評価に有用なツールであると考えられる.また,今回の検討では医師の触診や患者の自己報告のみでは腫脹関節を十分に検出できていないことが示唆され,USを用いることによりさらに正確な関節評価が可能になる事が示唆された.