Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
頭頸部:頭頸部

(S504)

頸動脈プラークにおけるJellyfish Signの検出(その2)- アルゴリズム

Detection of Jellyfish Sign in a carotid artery plaque (No.2) - Algorithm

坂下 肇1, 村下 賢1, 久米 伸治2

Hajime SAKASHITA1, Masaru MURASHITA1, Shinji KUME2

1日立アロカメディカル株式会社第一メディカルシステム技術本部, 2広島大学病院診療支援部 高次医用画像部門

1Medical Systems Engineering Division 1, Hitachi Aloka Medical, Ltd., 2Radiology, Hiroshima University Hospital

キーワード :

【目的】
脳梗塞の発症原因として注目されている頸動脈プラークには,安定プラーク(線維化,石灰化)と不安定プラーク(脂質,出血)があり,不安定プラークは超音波画像で低輝度に描出されることが知られている.一方,超音波検査はリアルタイム性に優れ,可動性プラークの検出に有用である.この可動性プラークの中でも,拍動性血流が作り出す血管内圧の変化によってプラークの表面が浮き沈みする現象を認めることがある.この現象は,クラゲの伸縮運動に良く似ていることから“Jellyfish Sign”と命名され,臨床現場で広く使用されている(Fig.1).このJellyfish signを有する症例は,50%以上の確率で将来,脳梗塞を発症することが報告されており注目を集めているが,超音波画像上,拍動する血管壁とJellyfish signの動きを区別することが困難な場合も多く,診断の一助となる新しいアプリケーションの開発が臨床現場から期待されている.そこで今回我々は,頸動脈超音波検査において,プラークの可動部位を検出するアルゴリズムを開発したので報告する.
【方法】
1)頸動脈超音波検査で得られた動画をAVIファイル形式で取得し,専用のパソコンに取り込む.2)血管壁およびプラークは,拍動性血流の圧力によって上下左右に大きく動くため,ビデオカメラの手ぶれ防止機能を応用し,血管壁の動きを画像上静止させ可動部位の検出を行った.3)テンプレートマッチング法によりプラークの移動ベクトルを算出し,プラークが同じ場所に位置するように画像全体を平行移動させ,プラークを画像上静止させた.4)可動部位の検出は,連続する隣同士の2枚の画像の2値差分を順次積算し,可動画像を作成した.
【結果】
結果例をFig.2に示す.画像は,頸動脈内にプラークを認め,プラークの表面が上下方向に浮き沈みするJellyfish Signを認めた症例である.長方形枠内(テンプレート領域)を基準に,プラークが同じ位置にくるように画像を作成し,丸枠内が検出されたJellyfish Signである.
【まとめ】
プラーク表示位置を固定する画像処理を加えることで,Jellyfish signの検出に有用であった.この手法は,頸動脈可動性プラークの検出の一助となることが期待される.