平井 良武¹, 一尾 博史¹, 藤井 佳世子¹, 田中 奈央¹, 執行 瑠美子¹, 石橋 久美子¹, 田中 眞紀², 山口 美樹², 高崎 恵美², 山口 倫³

Yoshitake HIRAI¹, Hiroshi ICHIO¹, Kayoko FUJII¹, Nao TANAKA¹, Rumiko SHIGYOU¹, Kumiko ISHIBASHI¹, Maki TANAKA², Miki YAMAGUCHI², Emi TAKASAKI², Rin YAMAGUCHI³

¹社会保険久留米第一病院検査部, ²社会保険久留米第一病院外科, ³久留米大学医療センター病理

¹clinical laboratory, Kurume daiichi social Insurance Hospital, ²Surgery, Kurume daiichi social Insurance Hospital, ³Pathology, Kurume University Medical Center

キーワード :

【目的】
当院で経験した乳腺管状癌5症例の超音波所見を病理組織学的背景とともに検討し報告する．
【結果】
5症例の超音波所見を提示する．（表1）　（症例1）47歳女性　非触知,MMG：右微細鋸歯状等濃度腫瘤,US：右B領域に不整形・境界不明瞭・内部均質等〜やや低エコー・後方軽度減衰・少量の血流信号・構築の乱れを伴う腫瘤　MRI：スピキュラを伴う腫瘤．CNBで管状癌と診断．（症例2）56歳女性　非触知,MMG：右構築の乱れ,US：右C領域に不整形・境界不明瞭・内部均質低エコー・後方減衰・少量の血流信号・構築の乱れを伴う腫瘤MRI：スピキュラを伴う腫瘤．USMMTで管状癌と診断．（症例3）56歳女性　非触知,MMG：左構築の乱れ,US：左C領域に不整形・境界不明瞭・内部均質等エコー・後方不変・少量の血流信号・構築の乱れを伴う腫瘤　MRI：スピキュラを伴う腫瘤．USMMTで管状癌と診断．（症例4）46歳女性 非触知,MMG：右構築の乱れ,US：右C領域に不整形・境界不明瞭・内部均質低エコー・後方軽度減衰・少量の血流信号・構築の乱れを伴う腫瘤　MRI：リング状に濃染する腫瘤．CNBで管状癌と診断．（症例5）53歳女性　非触知　MMG：右構築の乱れ　US：右C領域不整形・境界不明瞭・内部均質等エコー・後方軽度減衰・少量の血流信号・構築の乱れを伴う腫瘤　MRI：施行せず．USMMTで管状癌と診断．
【考察】
乳腺管状癌は乳癌取り扱い規約において浸潤癌特殊型に分類されその発生頻度は乳癌全体の1％前後といわれるまれな腫瘍である．病理組織学的特徴は異型の軽い腫瘍細胞が腺管を形成しながら浸潤性に増殖する．超音波所見は不整形・境界不明瞭・内部は均質で等〜やや低エコー・後方エコーは軽度減衰し少量の血流信号を有する．画像上最も特徴的な所見は豊富な線維性間質及び浸潤性に配列する癌細胞を反映しMMG及びUSで構築の乱れを呈し硬化性腺症,放射状瘢痕,硬癌,浸潤性小葉癌などとの鑑別が必要となる．血流信号を有する不整形腫瘤を形成することが良性との鑑別点である．硬癌,浸潤性小葉癌との比較において決定的な違いはないが,haloは形性せず,内部エコーは等〜やや低エコーであり,後方エコー減衰は軽度である．
【結語】
乳腺管状癌の超音波所見の特徴は構築の乱れ・少量の血流信号を有する不整形・内部等〜低エコー・後方エコー軽度減衰する腫瘤像を呈す．