Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
体表臓器:甲状腺2

(S496)

甲状腺悪性リンパ腫の超音波所見

Ultrasonografic features of malignant lymphoma of the thyroid

太田 寿1, 大下 真紀1, 森田 新二1, 藪田 智範2, 福島 光浩2, 廣川 満良4, 小林 薫2, 網野 信行3, 宮内 昭2

Hisashi OTA1, Maki OSHITA1, Shinji MORITA1, Tomonori YABUTA2, Mitsuhiro FUKUSHIMA2, Mitsuyoshi HIROKAWA4, Kaoru KOBAYASHI2, Nobuyuki AMINO3, Akira MIYAUCHI2

1隈病院臨床検査科, 2隈病院外科, 3隈病院内科, 4隈病院病理診断科

1Department of Clinical Laboratory, Kuma Hospital, 2Department of Surgery, Kuma Hospital, 3Department of Physiology, Kuma Hospital, 4Department of Diagnostic Pathology, Kuma Hospital

キーワード :

【はじめに】
甲状腺悪性リンパ腫のエコー像はすでに報告しているように,主所見としては内部エコーレベル低と後方エコーの増強がほぼ全症例でみられる.副所見としては症例によって「まだら状(虫喰い様)低エコー」,「内部の高エコーライン(切れ込み像)」*)と頸部リンパ節腫大がみられることがある.これらの副所見が出現する頻度と病理組織型についての差異について検討する.*)「内部の高エコーライン(切れ込み像)」は一見切れ込みのように見えるが,病理学的には結節同士が近接して増大するため正常組織が切れ込みに見えてくる.
【対象と方法】
今回我々は,当院で過去6年に病理組織学的に甲状腺悪性リンパ腫と診断された126例を対象とし,節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALToma)84例とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)42例である.内部エコーの「まだら状(虫喰い様)低エコー」,内部の「内部の高エコーライン(切れ込み像)」,頸部リンパ節腫大のエコー所見をretrospectiveに検討した.使用した装置は,東芝Aplio 80,9MHzと14MHzの電子リニアプローブを用いた.
【結果】
1)悪性リンパ腫全体での各所見の頻度は,「まだら状(虫喰い様)低エコー」で44例(34.9%),内部の高エコーライン(切れ込み像)」で69例(54.8%),頸部リンパ゜節腫大で29例(23.0%)であった.2)組織型別では,「まだら状(虫喰い様)低エコー」はMALTomaで46.4%,DLBCLで11.9%(р=0.0003),「内部の高エコーライン(切れ込み像)」はMALTomaで47.6%,DLBCLで69.0%(р=0.0368),また頸部リンパ゜節腫大ではMALTomaで15.5%,DLBCLで38.1%(р=0.0088)であった.
【結語】
副所見である「まだら状(虫喰い様)低エコー」はMALTomaで有意に,また「内部の高エコーライン(切れ込み像)」と「頸部リンパ節腫大」はDLBCLで有意に高い頻度で出現することが確認された.甲状腺悪性リンパ腫の超音波診断には,主所見として内部エコーレベル低と後方エコーの増強以外の副所見も有効である.