Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
体表臓器:甲状腺1

(S494)

副甲状腺腺腫のエラストグラフィー

Elastography of parathyroid adenoma

福島 光浩1, 小林 薫1, 太田 寿2, 藪田 智範1, 廣川 満良3, 網野 信行4, 宮内 昭1

Mitsuhiro FUKUSHIMA1, Kaoru KOBAYASHI1, Hisashi OTA2, Tomonori YABUTA1, Mitsuyoshi HIROKAWA3, Nobuyuki AMINO4, Akira MIYAUCHI1

1隈病院外科, 2隈病院臨床検査科, 3隈病院病理診断科, 4隈病院内科

1Department of Surgery, Kuma hospital, 2Department of Clinical laboratory, Kuma hospital, 3Department of Pathology, Kuma hospital, 4Department of Internal medicine, Kuma hospital

キーワード :

【背景 目的】
副甲状腺機能亢進が認められる場合,その原因となっている腫大した副甲状腺腺腫の局在を確認する必要がある.正常副甲状腺は30mgほどで超音波での観察は困難であるが,病的に腫大した副甲状腺腺腫では,超音波検査は簡便で侵襲無く行える診断能力の高い検査法方法として非常に有用である.通常多くの副甲状腺は甲状腺の背側から尾側に位置し,病的腫大腺は扁平で内部均質な低エコー腫瘤として認められ,甲状腺との境界には甲状腺被膜と副甲状腺被膜が重なり線状高エコーを認めることなどが特徴としてあげられる.またドプラ法では内部に特徴的な血流が描出されることが多くその鑑別診断に役立つ.しかしながら,時折,結節性甲状腺腫や腫大したリンパ節,甲状腺から結節状に突起した部分(ペンダント様甲状腺結節)などが副甲状腺の病的腫大腺と紛らわしい場合があり,診断に難渋する場合がある.良性の副甲状腺腺腫は通常比較的柔らかいものが多く,エラストグラフィーがその特徴をよく反映する可能性がある.
【対象 方法】
2009年と2010年の2年間に当院で手術され術後病理診断で副甲状腺腺腫と診断された患者のうち,術前にエラストグラフィーを施行している患者62例を対象とし,記録されているエラストグラフィの動画とスチール画像を再検しその特徴を検討した.(男性 9例 女性 53例 平均年齢 59.7±14.0歳)(平均最大径 18.8±7.0mm)
【結果】
副甲状腺腺腫は甲状腺実質とほぼ同等の色調を呈し,副甲状腺腺腫のみが浮き上がるように柔らかく描出されることはなく,従来の結節内の色調変化だけではペンダント様甲状腺結節やリンパ節などと鑑別は難しかった.副甲状腺腺腫と甲状腺が接する部分ではどちらも大きく歪むことはなく,圧迫の仕方によっては画面全体の所々に赤い部分が散見されたのに対し,ペンダント様甲状腺結節やリンパ節と甲状腺との間には,甲状腺の歪みを反映する赤い帯状部分(Red shore line )が認められることが多かった.
【まとめ】
従来エラストグラフィーの画像は対象とする腫瘤の硬さによって示される色調によって評価されてきたが,副甲状腺腺腫の診断に周辺との歪によって生じる変化を利用できる可能性がある.