Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
腎泌尿器:腎泌尿器2

(S484)

前立腺肥大症における5ARIによる前立腺縮小は排尿動態を改善するか?

Does the reduction of prostate volume by 5ARI improve the urodynamics in BPH patients?

尾上 篤志1, 大口 郁子2, 伊藤 裕美2, 佐野 誉志2, 秋山 隆弘3

Atsushi ONOUE1, Ikuko OHGUCHI2, Yumi ITO2, Yoji SANO2, Takahiro AKIYAMA3

1髙橋計行クリニック超音波室, 2堺温心会病院中央検査部, 3堺温心会病院泌尿器科

1Ultrasonic Laboratory, takahashi Kazuyuki Clinic, 2Central laboratory, Sakai Onshinkai Hospital, 3Urology, Sakai Onshinkai Hospital

キーワード :

【目的】
Dutasterideは5α還元酵素を阻害することで,前立腺肥大に関与するジヒデロテストステロン産生を抑制し,前立腺肥大を縮小する.そこでこの薬剤を用いて前立腺体積の減少が排尿動態改善に寄与するか否かを検討した.
【対象と方法】
前立腺肥大症82例を対象として,dutasteride 0.5mg /日を投与し,3か月毎に経腹壁的超音波断層法で前立腺体積と残尿量を測定し,他覚所見として尿流測定(Qmax)を同時に施行し,各指標の治療前からの変化率で評価した.
【結果】
前立腺体積を50mlより大きい群と30ml未満の群で比較したところその縮小率はそれぞれ25%と14%で前立腺肥大の程度が強いほど縮小効果は大きかった.さらに縮小率を20%以上群と未満群に分けて9か月後のQmax,残尿量の変化率を比較すると,両者共に縮小率の大きい群で改善傾向が見られたが,残尿量の減少と縮小率との関連性がより顕著であった(図).
【考察】
合併症の有無,併用薬剤の有無と種類は排尿効率改善効果を複雑にする因子であるが,少なくとも前立腺肥大の増殖様式は排尿障害に大きな影響を及ぼし,前立腺が大きいほど,縮小率が高く排尿障害に対する効果が期待でき,効果判定の予測に超音波断層法が有用であると考えられた.本学会までに排尿障害症例数の蓄積によりさらに詳細な統計学的な解析を行う予定である.