Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
腎泌尿器:腎泌尿器1

(S483)

腎癌の膵転移症例(2)

Examination of the metastatic pancreatic tumors from renal cell carcinoma(2).

寺澤 良夫1, 広田 むつ子2, 須藤 誠二2, 野村 禎子2, 野村 幸宏2, 鈴木 とよみ2, 五十嵐 やよい2

Yoshio TERASAWA1, Mutsuko HIROTA2, Seiji SUDO2, Yoshiko NOMURA2, Yukihiro NOMURA2, Toyomi SUZUKI2, Yayoi IGARASHI2

1仙台社会保険病院内科, 2仙台社会保険病院超音波検査室

1Internal medicine, Sendai Shakaihoken Hospital, 2Ultrasonic Laboratory, Sendai Shakaihoken Hospital

キーワード :

【はじめに】
腎癌(RCC)の膵転移症例は,早期診断による治療方針の決定が大切である.当院で手術で確定診断がついた腎癌の膵転移症例5人について報告した1).今回9人の症例を経験したので,そのUS診断,転移までの期間,予後について検討した.
【対象】
1984年4月から2011年10月までの当院人腫瘍手術例は1,242人でこのうちRCCは1,190人(96%,1265RCC,両腎癌75人)であった.RCC膵転移手術例の9人を対象とした.
【結果】
1.RCCの膵転移手術例9人(全例膵腫瘍は clear cell carc.)2.RCCの主訴 2人:検診US,2人:血尿,1人:胃潰瘍,1人:腹部腫瘤触知,1人:検診OBR(+),1人:子宮筋腫,1人:貧血3.膵転移腫瘍のUS所見 膵の充実性腫瘍(hypo,isoechoic,血流(+)(パワードプラー5人施行))4.RCCの摘出腫瘍径・膵転移手術までの期間摘出腫瘍径:1人不明(腫瘤触知例)(膵転移手術までの期間:7Y10M),7cm(5Y7M),4,5cm(14Y3M),4.5cm(9Y5M),8.5cm(1Y),9cm(9Y8M),5cm(11Y2M),4cm(8Y6M),12cm(9Y2M)5.転移膵癌の症状,諸検査9人:無症状,転移性膵癌のはじめの診断方法:US:6人,CT:3人,全例:US・CTで検出可能CA19-9,Amy. 肝機能に異常は見られない6.予後死亡:1人(RCCの転移死,RCC術後7Y3M後,膵癌術後1Y8M,対側腎・肝・肺転移),生存:8人,RCC術後26Y11M(膵癌術後19Y1M),20Y4M(6Y6M),14M11M(5Y6M),7Y1M(6Y1M),12Y4M(2Y8M),12Y1M(11M),10Y3M(1Y4M),9Y8M(6M)
【まとめ】
当院におけるRCCの膵転移手術例9人で,その診断予後について以下の所見が得られた.1.全例無症状でUS・CTで検出され,RCCの術後の膵転移の検出には年1回のUS検査の実施が必要.2.原発RCCの摘出腫瘍径は4cm以上(4〜12cm),RCC術後膵転移手術までの期間:1Y〜14Y3Mであり,4cm以上のRCCは15年間は膵転移の有無についてUSでの検査が必要である.3.予後(膵癌術後) 生存:8人(6M〜19Y1M),死亡:1人(RCC術後:7Y3M,転移膵癌術後1Y8M後),無症状で診断・手術された転移性膵癌の予後は良く,最長19Y1M(膵癌術後)生存している.4.摘出腫瘍径4cm以上のRCCは15Y間は1年に1・2回USによる転移性膵癌の有無について検査し,転移症例には,手術により著しく予後の改善が期待できる.1,2,3)
【文献】
1)寺沢良夫,広田むつ子,須藤誠二,野村禎子,野村幸宏,鈴木とよみ:腎癌の膵転移症例.第82回日超医学会学術集会講演抄録集 306:435,2009
2)松本正成,草塩公彦,塚本剛他:腎癌多発膵転移の2切除例,日消外会誌 40:48,2007
3)浜本哲郎,高野友爾,井上雅之他:腎細胞癌術後8年目に膵転移をきたした1例,膵臓,22:710,2007