Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
産婦人科:脳と胎児発育

(S475)

胎児頭囲拡大を呈した胎児脳腫瘍の一例

A case of fetal brain tumor with enlarging head

加藤 晴子, 松下 充, 神農 隆, 松本 美奈子, 村越 毅, 成瀬 寛夫, 中山 理, 鳥居 裕一

Haruko KATO, Mitsuru MATSUSITA, Takashi SHINNO, Minako MATSUMOTO, Takeshi MURAKOSHI, Hiroo NARUSE, Satoru NAKAYAMA, Yuichi TORII

聖隷浜松病院 総合周産期母子医療センター産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Maternal and Perinatal Care Center, Seirei Hamamatsu General Hospital

キーワード :

【緒言】
胎児脳腫瘍は比較的稀な疾患である.妊娠24週時に胎児頭囲拡大で紹介され,胎児脳腫瘍の診断に至った1例を経験したので報告する.
【症例】
24歳0妊0産,既往歴・家族歴に特記すべきことはない.自然妊娠し,前医で妊妊娠管理を行われていたが,妊娠24週5日に胎児頭位拡大と切迫早産の診断で母体搬送入院となった.同日施行した超音波検査ではBPD112mm(16.5SD),HC38.8cmと著名な頭囲拡大を認めた.頭蓋内部に高輝度と低輝度が混在し,大小の嚢胞を伴う左右非対称な像を認めた.梅毒,サイトメガロ,トキソプラズマや各種ウイルス感染症検査は異常認めなかった.MRIでは脳幹を除き,大脳・小脳の正常形態が認識出来ない嚢胞性病変と脳実質が混在していた.以上より胎児頭蓋内腫瘍と診断した.妊娠25週4日に前期破水となり,妊娠26週0日に子宮内胎児死亡となった.同日に陣痛発来し,頭蓋皮膚の破裂と共に腫瘍が露出し経腟分娩(死産)となった.児は身長38cm,体重1110g,頭囲25cmであった.脳実質の病理検査では正常脳組織は認められず,分化した肝,腎,消化管,骨,軟骨組織の増生が認められ,奇形種の診断となった.
【結語】
頭囲の拡大と共に頭蓋内のほとんどを占拠する胎児奇形種の一例を経験した.児生存の際には児頭骨盤不均衡による帝王切開も娩出法として考慮されたが,胎児死亡後に児頭蓋皮膚の破裂と共に腫瘍が露出し経腟分娩(死産)となった.