Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児異常

(S469)

出生前に診断したAchondrogenesis Type Ⅰbの1例

A case of Achondrogenesis Type Ⅰb

田口 彰則, 篠塚 憲男, 林 崇, 土井 裕美, 藤井 和之, 堀 慎一, 瀬戸 裕

Akinori TAGUCHI, Norio SHINOZUKA, Takashi HAYASHI, Hiromi DOI, Kazuyuki HUZII, Shinnichi HORI, Hiroshi SETO

瀬戸病院産婦人科

OB/GY, SETO Hospital

キーワード :

【緒言】
超音波による胎児診断の普及・精度の向上により,出生前に胎児の四肢短縮から,骨系統疾患が疑われる症例がある.骨系統疾患の頻度はおよそ1300分娩に1例と言われているが,診断に苦慮することが多い.今回,妊娠14週にcystic hygromaを呈し,超音波およびX線撮影によりAchondrogenesis(ACG) Type Ⅰbと診断したを経験したので報告する.診断にはPHILIP社製HD11XEを用いた.
【症例】
21歳,0回経妊0回経産,血族結婚なし.前医にて妊娠12週時にNT18〜19mmを指摘され,セカンドオピニオン目的で妊娠14週6日,当院に来院された.経腹超音波検査では胎児はcystic hygromaおよび全身の浮腫を呈し,胸郭の低形成,FL・HLともに短縮を認めた.3D超音波検査では頭蓋骨の骨化不良,椎骨の後椎弓根のみの骨化等の所見を認めた.ACGを強く疑い,本人・家族に診断,予後について説明したところ人工妊娠中絶を選択された.妊娠15週4日,人工妊娠中絶施行し,体重130g,身長12cm男児を娩出した.児は四肢短縮,胸郭の低形成,後頸部浮腫を認めた.また,死産児のX線撮影施行し,3D超音波所見と同様の所見を得て,ACGⅠbと診断した.
【考察】
超音波検査にて四肢短縮を認め,その形態からACG Ⅰbを疑った.最終的な診断は分娩後のX線画像によって行ったが,出生前の検査でも十分な検索が行えたと考える.ACG Ⅰbは生命予後不良の疾患で,DTDST遺伝子の変異によって引き起こされ,遺伝形式は常染色体劣性遺伝である.超音波所見としては椎骨骨化の欠損を伴う四肢短縮,胸郭の低形成と膨隆した腹部,全身浮腫,羊水過多,cystic hygromaを伴うとされている.今回,分娩後にX線撮影を行い,ACG Ⅰbの確定診断に至ったが,遺伝子検索を行うことができなかった.次回妊娠については慎重な対応が求められると考える.