金西 賢治¹, 伊藤 恵¹, 佐藤 美樹¹, 森 信博¹, 花岡 有為子¹, 田中 宏和¹, 塩田 敦子¹, 佐々木 睦子², 柳原 敏宏², 秦 利之¹

Kenji KANENISHI¹, Megumi ITO¹, Miki SATO¹, Nobuhiro MORI¹, Uiko HANAOKA¹, Hirokazu TANAKA¹, Atuko SIOTA¹, Mutuko SASAKI², Toshihiro YANAGIHARA², Tosiyuki HATA¹

¹香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学, ²サンフラワーマタニティクリニック産婦人科

¹Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine, ²perinatology and gynecology, Sunflower Maternity Clinic

キーワード :

【目的】
子宮内における胎児に神経系の発達の評価として,従来から2次元超音波法を用いた胎児行動の観察が行われてきた．しかしながら,単胎児における自発的な運動の観察が主であり,双胎妊娠における子宮内の胎児行動についての報告は少ない．また,これまでの2次元超音波法を用いた検討では,双胎児の自発的な行動の頻度に比較し,接触による反射行動の頻度は少ないとの報告がされてきた．今回我々は,4次元超音波を用いて,妊娠初期における子宮内での双胎児間の接触によっておこる反射行動について検討した．
【対象および方法】
妊娠12から13週の一絨毛膜二羊膜双胎（MD）妊婦6例,二絨毛膜二羊膜双胎（DD）妊婦8例を対象に,それぞれ30分間経腹的に4次元超音波（Volson 730 Expert）を用い観察し,記録したビデオテープから双胎児の行動を検討した．双胎における一児の単独行動および接触によりひき起される別の胎児の反射的な胎動の有無を計測し,その頻度を評価した．また,本研究は当大学の倫理委員会の承認を得た上で行われた．結果胎児の反射による胎動の有無の頻度はMD群の中央値33.6％ （range, 27.9-64.1％）とDD群の中央値33,9％ （range, 27.0-53.1％）と両群間に有意な差は認められなかった．2群をあわせた14例における胎児の行動回数の頻度の中央値は33.9％ （range, 27-64.1％）であった．
【結論】
超音波検査で確認される子宮内での双胎児間の胎児行動について,これまでにもいくつか報告がされてきている1-4）．従来の2次元超音波法を用いた胎児行動の検討では,胎児の自発的な運動が主であり,接触などによる反射的な行動の頻度は少ないとの報告がほとんどであった．しかしながら,4次元超音波法を用いることで,これまで2次元超音波法で報告されていた双胎児間の接触による反射行動の頻度が,より頻回に認められることが明らかになった．子宮内での胎児行動の観察において,4次元超音波法は空間認識能にすぐれ,より詳細な観察が可能であり,双胎児における胎児行動の観察の新しい手段となる可能性が示された．
【参考文献】
1）Arabin B, Bos R, Rijlaarsdam R, et al. The onset of intre-human contacts: longitudinal ultrasound observation in early twin pregnancies. Ultrasound Obstet Gynecol 1996; 8: 166-173.
2）Hepper PG. Fetal behavior: why so skeptical? ultrasoind Obstet Gynecol 1996; 8: 145-148.
3）Nijhus JG. Fetal behavior. Neurobiol Aging 2003; 24（Suppl 1）:S41-464） Samueloff A, Younis JS, StraussN, Baras M, Sadovsky E. Incidence of spontaneous and evoked fetal movements in the first half of twin pregnancy. gynecol Obstet Invest; 1991: 200-203