Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
産婦人科:その他

(S465)

経腟3Dカラードプラー法が診断に有用であった子宮動静脈奇形の一例

Ultrasound diagnosis of intrauterine arteriovenous malformation

眞島 允人1, 金西 賢治1, 伊藤 恵1, 佐藤 美樹1, 森 信博1, 花岡 有為子1, 田中 宏和1, 塩田 敦子1, 外山 芳弘2, 秦 利之1

Masato MASHIMA1, Kenji KANENISHI1, Megumi ITO1, Miki SATO1, Nobuhiro MORI1, Uiko HANAOKA1, Hirokazu TANAKA1, Atuko SHIOTA1, Yoshihiro TOYAMA2, Tosiyuki HATA1

1香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学, 2香川大学医学部放射線医学講座

1Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine, 2Radiology, kagawa University School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
子宮動静脈奇形は稀な疾患で,妊娠や流産を契機に発症し,大量の性器出血などで診断された報告もあり,治療の点からも迅速な診断が求められる場合も多い.今回,経腟2Dカラードプラー法が診断に有用であったと考えられる子宮動静脈奇形の症例を経験したので報告する.
【症例】
25歳女性,5回経妊0回径産.他院において妊娠6週の稽留流産の診断で流産手術を施行した.手術後約1ヶ月で大量性器出血を起こし,前医を受診,経腟3Dカラードプラ,骨盤造影MRIおよびダイナミックCTにて子宮動静脈奇形疑いとなり,当院に紹介受診となった.当院での経腟超音波による2Dカラードプラ像で子宮腔内の出血を思わせる高エコー周囲の子宮筋層内に血流の増加を伴う血管増成像が認められ,3Dカラードプラ像でも,子宮腔内に流入血管と流出血管による特異的な血管構造像が描出された.また,血清hCGも陰性であり,絨毛性疾患は否定された.当科放射線科とともに動脈塞栓療法の方針とし,血管造影を施行した.骨盤内血管造影では,超音波ドプラ像と一致した右子宮動脈から造影される動静脈奇形を認め,子宮動静脈奇形の診断に至った.同時に子宮動脈の選択的塞栓術を施行した.塞栓後の経腟超音波による2Dおよび3Dカラードプラ像では術前確認された,血流の増加像は消失し,術後1ヶ月経過したのとちも同様に描出されず,性器出血もなく経過良好である.
【考察】
子宮動静脈奇形は,若年女性の突然の性器出血により診断されることが多く,出血の程度によっては迅速な診断が求められるケースも存在する.今回の症例でも経腟3Dカラードプラ法により子宮腔内に血管病変を早期に描出でき,より早い段階での診断が可能であったと考えられる.また塞栓術後の治療効果の評価においても,血管像の退縮像を確認することで,流入と流出する血流像を評価する診断法として有用であったと考えられる.確定診断には,治療の1つである動脈塞栓術もかねた血管造影が必要であるが,経腟3Dカラードプラ法は非侵襲的に子宮や骨盤内臓器の動静脈奇形などの血管病変を診断する有用な検査法となる可能性があらためて確認された.
【参考文献】
1.Cure M, Martinez N, Cura A, Dalsaso TJ, Elmerhi F. Arteriovenous Malformations of the Uterus. Acta radiol 2009; 50: 823-829
2.Kelly SM, Belli AM, Cambell S, Arteriovenous malformation of the uterus associated with secondary postpartum hemorrhage. Ultrasound Obstet Gynecol 2003; 21: 602-605
3.Hata T, Inubashiri E, Kanenishi K, Tanaka H, Shiota A, Ohno M. Three-dimensional power Doppler sonographic features of uterine vascular malformation. Ultrasound Obstet Gynecol 2004; 24: 806-808