Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
産婦人科:婦人科腫瘍

(S464)

術前超音波検査が有用だったAggressive angiomyxomaの一例

Preoperative diagnosis and operation under ultrasonography in aggressive angiomyxoma:a case report.

太田 創, 大槻 克文, 市原 三義, 宮本 真豪, 飯塚 千祥, 石川 哲也, 森岡 幹, 長塚 正晃, 岡井 崇

Hajime OTA, Katsufumi OTSUKI, Mitsuyoshi ICHIHARA, Shingo MIYAMOTO, Chiaki IITSUKA, Tetsuya ISHIKAWA, Miki MORIOKA, Masaaki NAGATSUKA, Takashi OKAI

昭和大学産婦人科学教室

Department of Obstetrics and Gynecology, Showa University

キーワード :

【緒言】
Aggressive angiomyxomaは女性の外性器・骨盤内に発生する稀な間葉系腫瘍の一種であるが,脂肪腫やバルトリン腺嚢胞などとの鑑別は外見のみでは困難である.また高い術後再発率が報告されており切除範囲の決定にも慎重な判断が要求されるが,近年は拡大切除は避けられる傾向にある.1983年のSteeperらの初報告以来,約250例の報告があるが画像検査はMRIが一般的であり,超音波検査の画像所見の報告を確認できた例は6例のみである.今回我々は簡便で低侵襲な超音波検査を施行して緻密な術前診断と術式・切開法の決定に役立ったaggressive angiomyxomaの一例を経験したので報告する.
【症例】
28歳の2経妊2経産婦で左会陰部腫瘤の精査加療目的に紹介された.左大陰唇外側皮下に無痛性で弾性軟の手拳大腫瘤を認めた.ALOKA社製prosound α7のリニア型プローブを使用し超音波検査を施行した.通常の断層画像では境界不明瞭な二房性腫瘤として描出され内部エコーは認めなかった.カラードップラーでは腫瘍内部に散在するモザイク様の血流と腫瘤周囲に沿って走行する多数の血流を認め,パルスドップラーでも動脈性脈波を検出した.骨盤造影MRIでは腫瘤はT1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号を呈し,ガドリニウムでは強く不均一に造影された.術前診断はAggressive angiomyxomaまたはAngiomyofibroblastomaとされ全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.左大陰唇外側の皮膚を縦切開して腫瘍に到達した後に,腫瘍表面の血管を結紮しながら被膜を剥離して,腫瘍を残存なく摘出した.腫瘍表面は血管に富み内部は透明なゼラチン状の充実性腫瘍で,病理診断はaggressive angiomyxomaであった.術後3カ月を経過するが再発は認めていない.
【結論】
超音波検査を併用した緻密な術前診断により最小切除と最少出血で遺残なく摘出できたaggressive angiomyxomaの一例を経験した.本疾患の術前評価として超音波検査が有用であると考えられた.