Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
産婦人科:婦人科腫瘍

(S462)

卵巣腫瘤エコーパターン分類2000の悪性・境界悪性の確率は妥当か

Is probability of malignant and borderline malignant tumor in echo pattern classification 2000 suitable?

赤松 信雄, 長谷川 育子, 小髙 晃嗣, 水谷 靖司, 立岩 尚, 三原 真奈美, 佐野 友美, 久保 光太郎

Nobuo AKAMATSU, Ikuko HASEGAWA, Koji ODAKA, Yasushi MIZUTANI, Hisashi TATEIWA, Manami MIHARA, Tomomi SANO, Kohtaro KUBO

姫路赤十字病院産婦人科部

DEPARTMENT OF OBSTETRICS AND GYNECOLOGY, JAPANESE RED CROSS SOCIETY HIMEJI HOSPITAL

キーワード :

【目的】
卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000では6個のエコーパターン毎に悪性腫瘍・境界悪性腫瘍である可能性(確率)が表示されている.即ち,1型・2型・3型では3%以下,4型では約50%,5型では約70%,6型では約30%とされている.卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000での悪性腫瘍・境界悪性腫瘍である確率表示に使用された元データは,1988年から1992年までの経腹走査超音波像に基づいており,総数に対する悪性腫瘍・境界悪性腫瘍の比率は22%であった.その後の経腟走査の普及により超音波像の画質が向上した.そこで,卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000で示されている確率は妥当か,即ち,経腹走査で求められた確率が,経腟走査が主流となった現代でも妥当か.卵巣腫瘤エコーパターン分類(案)が公示された後の症例によって悪性・境界悪性の確率の妥当性と主要な症例の呈示をしたい.
【対象と方法】
手術摘出物で卵巣(付属器)の腫瘤を確認した症例の,経腟走査の普及が広まった1997年以降の経腟走査超音波像,大きな腫瘤では経腹走査超音波像を対象とした.多くはプロスペクティブに,一部はレトロスペクティブに,両側性腫瘤では,左右別々にエコーパターン分類した.検討した症例の手術時期は,1997年から2000年までと,2008年から2010年までである.
【成績】
検討した腫瘤数は471であった.組織診断群は,類腫瘍病変+良性群が,342腫瘤(73%),境界悪性群が39腫瘤(8%),悪性群が90腫瘤(19%)であった.エコーパターン毎の悪性腫瘍・境界悪性腫瘍である確率は,1型0%,2型5%で全て境界悪性腫瘍,3型1%で全て悪性腫瘍,4型52%で境界悪性腫瘍が47%,5型68%で悪性腫瘍が93%,6型37%で全て悪性腫瘍であった.卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000のエコーパターン毎の悪性腫瘍・境界悪性腫瘍である確率を比較すると,2型に分類される境界悪性腫瘍が3%を超えていた.6型の悪性腫瘍・境界悪性腫瘍である確率が30%を超えていることがわかった.
【まとめ】
経腟走査がルチンに施行されるようになると,腫瘍の詳細な観察ができるようになり悪性・境界悪性腫瘍のエコーパターン分布を変えることが示唆された.即ち,2型に悪性・境界悪性腫瘍が増加し,2型は経過観察できるであろうかとの疑問が湧いてくる.これらの症例を呈示し,対応策の検討と新しい分類への足がかりとしたい.