Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:消化管3

(S457)

出血に対する造影超音波検査施行例の検討

Analysis of hemorrhagic diseases with contrast-enhanced ultrasonography

三宅 達也1, 佐藤 秀一1, 齋藤 宰1, 岡 明彦1, 福間 麻子2, 新田 江里2, 木下 芳一1

Tatsuya MIYAKE1, Shuichi SATO1, Tsukasa SAITOH1, Akihiko OKA1, Asako FUKUMA2, Eri NITTA2, Yoshikazu KINOSHITA1

1島根大学医学部消化器・肝臓内科, 2島根大学医学部附属病院検査部

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Shimane University Faculty of Medicine, 2Central Clinical Laboratory, Shimane University Hospital

キーワード :

【目的】
出血に対し造影超音波検査を施行した症例につき検討する.
【対象と方法】
2009年7月-2011年11月に当科で出血に対し造影超音波検査を施行した6例(男性2例,女性4例,60-91歳).超音波装置はGE社製LOGIQ 7もしくはLOGIQ E9を使用し,造影はソナゾイド0.01 ml/kgを静注した.造影剤注入後5分程度までreal timeに活動性出血の評価を行い,造影剤の漏出が認められない場合は10分以降に再度観察した.
【結果】
原疾患の内訳は,HCC破裂3例,HCC破裂に対する塞栓治療後1例,大腸憩室出血1例,肝被膜下血腫1例であり,そのうち造影超音波検査で出血が確認されたのは,HCC破裂1例と大腸憩室出血1例であった.出血確認例は発症当日に受診し造影超音波検査を施行しており,他の症例は止血治療後あるいは発症の翌日以降に造影超音波検査を施行していた.出血が確認された2例を提示する.症例1:60歳代,男性.B型肝炎を指摘されるも通院中断.2011年6月に腹痛が出現し血圧70 mmHg台まで低下したため救急外来受診.Hb 10.1 g/dl,腹部超音波検査検査で多発HCCと腹水を認めた.造影超音波検査を施行したところ,腹水中への造影剤の流出が確認され,HCC破裂による腹腔内出血と診断.腹部血管造影にて出血部位が同定され,マイクロコイルで止血した.症例2:80歳代,男性.2011年11月に下血し,歩行困難となり救急搬入された.搬入時ショック状態,Hb 7.7 g/dl.輸液,輸血にて状態回復し,腹部超音波検査を施行したところ大腸壁が浮腫状であり,上行結腸に憩室と液体貯留を認めた.検査中再び血圧が低下したため造影超音波検査を施行したところ,上行結腸管腔内に造影剤の流出を認めた.バイタルが安定せず大腸内視鏡検査は危険と考え腹部血管造影を施行したが,出血は確認できなかった.以後下血はなかったが,待機的に内視鏡検査を施行した際に上行結腸憩室からの拍動性出血が認められた.
【結論】
出血の有無,出血部位の検索に造影超音波検査が有用である可能性が示唆された.出血例では,発症早期に造影超音波検査行うことで検出率が向上すると考えられた.