齋藤 宰^{1, 2}, 田中 弘教^{2, 3}, 橋本 眞里子², 佐藤 秀一¹, 木下 芳一¹, 西口 修平³, 廣田 誠一⁴, 飯島 尋子^{2, 3}

Tsukasa SAITOH^{1, 2}, Hironori TANAKA^{2, 3}, Mariko HASHIMOTO², Syuichi SATO¹, Yoshikazu KINOSHITA¹, Shuhei NISHIGUCHI³, Seiichi HIROTA⁴, Hiroko IIJIMA^{2, 3}

¹島根大学医学部附属病院消化器・肝臓内科, ²兵庫医科大学附属病院超音波センター, ³兵庫医科大学附属病院肝胆膵科, ⁴兵庫医科大学病院病理部

¹Department of Gastroenterology and Hepatology, Shimane University Hospital, ²Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, ³Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine, ⁴Department of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
限局性過形成結節（FNH）は画像検査の進歩とともに日常検査で発見される頻度が増加している代表的な多血性肝腫瘤性病変であり,肝細胞癌との鑑別が重要である．特徴的な超音波所見については多くの報告があるが,それらがどの程度でみられるかについては,十分確立しているとは言えない．そこで今回我々は, Sonazoid造影超音波検査（CEUS）を含めたFNHの超音波所見をまとめ,それらの有用性について検討した．
【対象と方法】
2009年4月から2011年8月までの間に当センターにおいてCEUSを施行し,組織検査あるいは総合画像診断と臨床経過よりFNHと診断した10症例（男性3名,女性7名,平均年齢43歳）を対象とした．造影超音波検査はAplio XG（東芝メディカルシステムズ）を使用し,これらの結節のBモード所見,カラー/パワードプラ所見,CEUS所見について,それぞれ内部エコーや血流シグナル,染影パターンなどに加え,FNHに特徴的な画像所見であるspoke-wheel like pattern,中心瘢痕などの出現頻度について検討した．Sonazoid造影超音波検査は動脈優位相（45秒以内）,門脈優位相（45秒〜3分）,Kupffer相（15分以降）の各時相で検討した．
【結果】
Bモードの内部エコーは低エコー7例,等〜低エコー1例,等エコー2例であった．各時相におけるCEUS所見は,動脈優位相では全例hypervascular,門脈優位相ではhypervascular 5例,isovascular 5例,Kupffer相ではisointensity 6例,hyperintensity 4例であった．FNHに特徴的なSpoke-wheel like patternはカラー/パワードプラ法では5例に認めるのみであったが,CEUSではmaximum intensity projection（MIP）法も併用することで,10例全例で指摘可能であった．中心瘢痕はBモードでは明瞭に描出できなかったが,CEUSでは3例に染影低下領域として認めた．また,CEUSのfirst passでの検討では4例で肝静脈への流出像も認めた．
【考察】
CEUSでは, MIP法を効果的に使用することにより全症例でspoke-wheel like patternを指摘可能であり,またKupffer相での染影低下症例も認めず,これらの所見は多血性肝腫瘤性病変からFNHを診断する上で重要な所見であると考えられた．しかし,Kupffer相で染影低下する症例の報告もあり（柴崎晋 ほか．日消外会誌2008;41）,今後さらなる症例の集積やKupffer相での染影の機序の解明が必要である．
【結語】
CEUSは,リアルタイムかつ低侵襲に血流評価やKupfferイメージを評価可能でき,FNH の診断に有用である．