Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:その他2

(S441)

癌性疼痛に対する超音波内視鏡下腹腔神経叢融解術(EUS-CPN)の有用性と安全性

Safety and efficacy of EUS-guided celiac plexus neurolysis for cancer pain

久居 弘幸1, 小野 道洋1, 宮崎 悦1, 山田 尚太2

Hiroyuki HISAI1, Michihiro ONO1, Etsu MIYAZAKI1, Shota YAMADA2

1伊達赤十字病院消化器科, 2札幌医科大学第四内科

1Department of Gastroenterology, Japan Red Cross Date General Hospital, 2Fourth Department of Internal Medicine, Sapporo Medical University School of Medicine

キーワード :

【目的】
癌性疼痛治療において,超音波内視鏡下腹腔神経叢融解術 (EUS-CPN)は,至近距離でかつリアルタイムに穿刺針が確認できるため,より安全性が高く,欧米ではある程度認知された手技となっているが,本邦では未だ認知度は低いのが現状である.また,近年直接腹腔神経節を穿刺する腹腔神経節融解術(EUS-CGN)の有用性も報告されている.今回,上腹部悪性腫瘍の癌性疼痛に対するEUS-CPN/ CGNの有用性と安全性について検討した.
【方法】
対象は2006年11月〜2011年12月にEUS-CPN/CGNを施行した35例(年齢45〜89歳,平均71歳,男性12例),のべ50回.原疾患は膵癌23例(切除不能16,再発7),胆嚢癌3例(切除不能2,再発1),胆管癌(再発)3例,転移性肝腫瘍3例,肝内胆管癌,十二指腸乳頭部癌(再発),胃癌が各々1例.施行前にオピオイド(OP)を投与していた12例全例で便秘,嘔気,眠気などの副作用を認めていた.OPの 副作用や効果不良による疼痛緩和困難例のみならず,OP導入前も適応とし,化学療法の併用は27 例に行った.使用スコープはGF-UCT2000 (OLYMPUS),穿刺針はNA-200H-8022 (22G,OLYMPUS),鎮静剤としてジアゼパムまたはミダゾラム,鎮痛剤として塩酸ペチジンを使用した.全例,酸素投与を行い,血圧,脈拍,酸素飽和度をモニタリングした.方法は腹腔動脈幹もしくは腹腔神経節を描出し,ドプラーモードにて穿刺ラインに介在血管がないことを確認し,腹腔動脈幹直上(または右側)もしくは腹腔神経節を狙い22G針で穿刺した.血液の逆流がないことを確認し,0.25%ブビバカイン数ml注入後,イオへキソール混和90%エタノールを計5〜20mlを注入し,生理食塩水で穿刺針内腔をフラッシュしながら抜針した.術後は2時間の安静とし,抗菌薬は使用しなかった.施行直後の単純CTで注入液の分布を確認した.
【結果】
1) 4例は初回施行後にCTで薬液分布不良と考えられ,追加で施行した.1週間以降のnumerical rating scale(NRS)が4以下になった有効例は27例(77%)で,OP増量や導入をしなかった有効期間は1〜44週(中央値6週)であり,後に無効となった7例に1〜4か月後に再施行し効果を認めた.無効例はCTでの薬液分布不良例とオピオイド前投与例であった.2)偶発症は一過性の疼痛増強11回(22%),下痢6回(12%),酩酊3回(6%),発熱3回(6%),嘔気2回(4%),血圧低下1回(2%)であった.
【結論】
EUS-CPN/CGNは上腹部悪性腫瘍の癌性疼痛に対して,容易かつ安全で有用な手技である.