Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:胆道1

(S437)

当院におけるEUS 下胆道ドレナージ術の有用性

Endoscopic ultrasonography-guided choledochoduodenostomy and hepaticogastrostomy for treatment of biliary obstruction.

今井 元, 北野 雅之, 工藤 正俊

Hajime IMAI, Masayuki KITANO, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部附属病院消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Kinki University faculty of medicine

キーワード :

【背景】
ERCPによる胆道ドレナージが困難な症例に対してEUS下胆道ドレナージ術(EUS-choledochoduodenostomy (CDS) およびEUS-hepaticogastrostomy (HGS))は有用な治療法の一つであることは,これまでも報告をしてきた.今回,CDS,HGSについての有用性を検討するとともに,その安全性について検討したので報告する.
【対象と方法】
2006年6月から2011年9月までに当院で実施したCDS 24例(26セッション),HGS 22例(24セッション)を対象とした.方法は超音波内視鏡(convex GF-UCT260, 240 (Olympus))下で経胃もしくは経十二指腸的に胆道を描出し,穿刺ライン上に介在血管が存在しないことを確認した上で,19G-FNA針を用いて拡張胆管を穿刺した.穿刺孔の拡張には,まず先端3.5Frの造影チューブを使用し,続いてソーヘンドラー式胆管拡張カテーテル(6,7,9Fr)を使用した.最後にプラスチックステントまたはメタルステントを留置し終了した.検討項目は,穿刺ルート,ステント留置を完遂とするtechnical success,黄疸を含めた胆道狭窄症状の改善を成功とするclinical success,ステント開存期間,偶発症,ステントの種類によるclinical success,偶発症を検討した.
【結果】
CDSは24例 26セッションであった.胆管壁肥厚により穿刺孔拡張が困難であった7例を含む4例において,Rendezvous法で乳頭部よりステント留置を行った.1例において拡張が困難な症例を認め,1例で肝機能の改善を認めなかった.(technical success 96.1%,clinical success 96.1%) 5例に術後逆行性胆管炎が生じ,3例に限局性腹膜炎を認めた.(complication rate 32.0%)平均ステント開存期間は70.3日(18〜228日)であった.HGSは22例24セッションであった.1例に穿刺後にステント留置ができず,3例において症状の改善を認めなかった.(technical success 95.8%,clinical success 87.1%)ステント迷入,逸脱をそれぞれ1例認め,限局性腹膜炎を6例認めた.(complication rate 35.1%)平均ステント開存期間は60.3日(17〜121日)であった.プラスチックステントとメタリックステントによる比較は,臨床症状改善率はそれぞれ96.3%,90%(P=0.56),偶発症発生率は39.3%,25%(P=0.31)であり,ステントの種類別で有意差は認めなかったが,PS群の偶発症発生率はMS群よりも高値であった.
【結語】
経乳頭的アプローチ困難例に対してEUS下胆道ドレナージ術は有用な手技であるが,限局性腹膜炎などの偶発症に注意して実施する必要がある.また様々な穿刺ルートとステント留置法があり必要に応じて選択していくことが重要である.