藪中 幸一¹, 井上 正也², 宮崎 実², 山本 達雄³, 藤本 洋和³, 李 尚憲³

Koichi YABUNAKA¹, Masaya INOUE², Minoru MIYAZAKI², Tatsuo YAMAMOTO³, Hirokazu FUJIMOTO³, Sanhon I³

¹医療法人大植会　葛城病院放射線科, ²医療法人大植会　葛城病院外科, ³医療法人大植会　葛城病院内科

¹Radiology, Katsuragi Hospital, ²surgery, Katsuragi Hospital, ³internal medicine, Katsuragi Hospital

キーワード :

【はじめに】
近年,超音波検査（以下：US）は画質の向上により,急性胆嚢炎の診断が容易となった．しかしながら,壊疽性胆嚢炎の術前における質的診断は容易ではない．そこで,今回我々は,当院で術前に得た壊疽性胆嚢炎の超音波B-mode画像について検討した．
【対象と方法】
対象は,2007年5月から2011年5月までの4年間に,当院でUSを施行され壊疽性胆嚢炎を疑い緊急手術となった15例（男性7名,女性8名,年齢：77.1 ± 16.9 歳 ）である．なお,確定診断は摘出標本の病理組織学的診断にて行った．USの観察では,B-modeにて胆嚢腫大,胆嚢壁肥厚,胆嚢内の結石,デブリエコー,胆嚢周囲の液体貯留,胆嚢壁sonolucent layer,不整な層構造を呈する低エコー帯をretrospectiveに検討した．使用機器は,超音波診断装置SSA-660A（TOSHIBA社製）で,プローブは3.75MHzコンベック型及び7MHzリニア型使用した．
【結果】
全症例（15例）中,全例に胆嚢腫大,デブリエコー,胆嚢周囲の液体貯留を認めた．胆嚢内の結石は12例,混濁腹水は10例,sonolucent layerは6例,不整な層構造は4例に認めた．胆嚢壁肥厚は,3.06±0.99mmと比較的薄い傾向があった．手術所見では,穿孔及び膿瘍形成が5例に認めた．
【考察】
急性胆嚢炎の先行研究では,胆嚢周囲の液体貯留が32％,胆嚢壁が4.64±0.16mmと報告されている1,2）．自験15例における壊疽性胆嚢炎のUS所見の特徴は,胆嚢腫大,デブリエコー,胆嚢周囲の液体貯留,比較的薄い壁肥厚であるが,急性胆嚢炎と比較した場合,胆嚢周囲の液体貯留,混濁腹水,比較的薄い壁肥厚に違いを認めた．これらの所見は,胆嚢壁が壊死した特徴を示唆したものと考える．
参考文献
1）CAGATAY AYDIN, et al. Prognostic Parameters for the prediction of acute gangrenous cholecystitis. J Hepatobiliary Pancreat Surg. 2006; 13: 155-159.
2）Soyer P, et al. Color velocity imaging and power Doppler sonography of the gallbladder wall: a new look at sonographic diagnosis of acute cholecystitis. AJR Am J Roentgenol. 1998;171:183-188.