三浦 隆生, 小川 眞広, 塩澤 克彦, 阿部 真久, 松本 直樹, 中河原 浩史, 杉山 尚子, 山本 敏樹, 田中 直英, 森山 光彦

Takao MIURA, Masahiro OGAWA, Katsuhiko SHIOZAWA, Masahisa ABE, Naoki MATSUMOTO, Hiroshi NAKAGAWARA, Naoko SUGIYAMA, Toshiki YAMAMOTO, Naohide TANAKA, Mitsuhiko MORIYAMA

駿河台日本大学病院内科

Internal medicine, Surugadai Nihon university Hospital

キーワード :

【目的】
これまで転移性肝癌の超音波B-mode像の特徴として特異的な所見はあまり無いと言われていたがその中でも大腸癌の転移症例においては高エコー型が多いとされていた．しかしこれまで高エコーの割合などについてはあまり報告されていない．また,現在大腸癌の転移性肝癌に対しては積極的に化学療法も行われるようになってきたため経過観察においても治療による効果を知る上でもB-mode所見は重要な因子とると考えられる．今回我々は,大腸癌の転移性肝癌のB-mode像の検討を行ったので報告をする．
【対象と方法】
症例は平成18年4月より平成23年12月までの期間において駿河台日本大学病院にて超音波検査を受けた大腸癌肝転移症例の80症例とした．年齢は平均73歳,男女比は約3：1であった．超音波検査で転移性肝癌と診断された結節各々に対して,腫瘍径10mm未満,10mm以上20mm未満,20mm以上に分類し,それぞれのecho patternの割合を比較し,検討をおこなった．
【結果】
10mm未満の結節では低echo,高echoを呈する割合はほぼ同等であり,おおむね同一症例の中で異なるecho像を呈する例はほとんどなく,症例毎により呈するパターンが異なっていた．10mmから20mmの範囲では7割〜8割が高echoを呈する結節に占められており,また半数程度が周辺低echo帯を伴い,腫瘍径の増大にともない増加してくる傾向が認められた．20mm以上の結節ではほぼ高echoを呈する場合がほとんどであるが,腫瘍径の増大に伴い内部のecho像はmosaic様に不均一化が認められるようになり,低〜高echoが混在する結節や,内部に明らかな中心部壊死を疑う無echo領域を伴う結節も認められるようになった．
【考察】
従来いわれているとおり大腸癌による転移性肝癌はほとんどが高エコー型を呈していた．しかし,10mm以下の小さな結節や大きな腫瘍においては低エコーや,混合エコーなど多彩な像を呈することが多く,中には肝血管腫と画像上鑑別を要する像を呈する事もあり注意が必要であると考えられた．